ひらがな男子
「お前さんそんなに俺のことが嫌いか?」
なさけなくもハの字に眉を下げながら言う『た』に対し、当然とばかりに『ぬ』は鼻で笑った。
「ぬぁんだ?今さら気付いたのか」
「そう潔く肯定されるとさすがの俺も傷つくぜ」
「我以外のひらがななど不要。特に“た”は我が否定する前に完了形にするところが気に食わぬ!」
「俺はお前さんのことが好きなんだが」
「ぬっ!?」
あからさまにしょんぼりとした様子の『た』が零した言葉にギョッとしたように『ぬ』は距離を取り。
いきなり『ぬ』に距離を取られた『た』は首を傾げた。
「あ?どうしたよ、バネ仕掛けのカラクリみてぇに跳ねて?」
「ぐぬぬぬぬぬッ!貴様が笑えぬことを言うからであろう!」
「何だぁ?今さらか?てっきり分かってるもんだとばかり……」
「知らぬわ!いや、知ったとしても我は貴様のことなど…!」
「嫌よ嫌よも好きよの――」
「内になどなら“ぬ”!」
強く否定し警戒したように睨んでくる『ぬ』に、さすがに困ったように『た』は頬を掻いた。
暫しの沈黙の後、『ぬ』は舌打ちをして立ち上がった。
「やはり“た”は気に食わぬ!!」
きびすを返し部屋を出た後、『ぬ』はふすまをピシャリと閉め。
コテンパンに否定された『た』はため息をついた。
「たははは……まさか今さら警戒されるたぁ思わなかったぜ」
畳へと倒れ込むかの如く大の字になり、『ぬ』のことを思い出しながら目を細め。
頭の中ではカラクリを組み立てるがごとく目まぐるしく今後を考え始た。
諦めるつもりなど端からありはしない。
「まあ、逃げる獲物は追いたくなるのが男ってもんだ」
end
(2025/10/21)
なさけなくもハの字に眉を下げながら言う『た』に対し、当然とばかりに『ぬ』は鼻で笑った。
「ぬぁんだ?今さら気付いたのか」
「そう潔く肯定されるとさすがの俺も傷つくぜ」
「我以外のひらがななど不要。特に“た”は我が否定する前に完了形にするところが気に食わぬ!」
「俺はお前さんのことが好きなんだが」
「ぬっ!?」
あからさまにしょんぼりとした様子の『た』が零した言葉にギョッとしたように『ぬ』は距離を取り。
いきなり『ぬ』に距離を取られた『た』は首を傾げた。
「あ?どうしたよ、バネ仕掛けのカラクリみてぇに跳ねて?」
「ぐぬぬぬぬぬッ!貴様が笑えぬことを言うからであろう!」
「何だぁ?今さらか?てっきり分かってるもんだとばかり……」
「知らぬわ!いや、知ったとしても我は貴様のことなど…!」
「嫌よ嫌よも好きよの――」
「内になどなら“ぬ”!」
強く否定し警戒したように睨んでくる『ぬ』に、さすがに困ったように『た』は頬を掻いた。
暫しの沈黙の後、『ぬ』は舌打ちをして立ち上がった。
「やはり“た”は気に食わぬ!!」
きびすを返し部屋を出た後、『ぬ』はふすまをピシャリと閉め。
コテンパンに否定された『た』はため息をついた。
「たははは……まさか今さら警戒されるたぁ思わなかったぜ」
畳へと倒れ込むかの如く大の字になり、『ぬ』のことを思い出しながら目を細め。
頭の中ではカラクリを組み立てるがごとく目まぐるしく今後を考え始た。
諦めるつもりなど端からありはしない。
「まあ、逃げる獲物は追いたくなるのが男ってもんだ」
end
(2025/10/21)
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