小説
「テメェも恋愛とはほど遠い人生送ったくせにあのクソ坊主…ッ!」
プロメテウスとの関係に対し、やれじれったいだの何だのと三蔵法師に説教され。
せめて花の一つも持ってけと渡された金木犀の枝を手に斉天大聖は頭を掻いた。
「喜ぶか…? いやまァ、喜ぶだろうけどな……」
どう考えても花を渡され目を見開く相手の姿の方が真っ先に浮かぶが。
いまさら手にしている枝をそこらに捨てようとも思わず、じっと睨むように眺めた。
「にしても、甘ったるい香りだな」
まあ、切り取られた花ならば短期間で枯れていくだろうと割り切り。
オレンジ色の花が付いた枝を手に斉天大聖はプロメテウスの元へと向かった。
「ワンッ!」
「なんだ、この匂いの正体アンタの所のそれだったのかよ」
「ん?」
本へと視線を落としていたプロメテウスは来訪者に気付いて顔を上げ。
ゲッシュに先導されてきたクー・フーリンが指す『それ』の心当たりへと視線を向けた。
「ああ、先日、斉天大聖に貰った物だ」
「へー? かなり遠くまで香りが飛ぶんだなその花」
窓際近くに置かれた花瓶に挿された枝葉つきの花をクー・フーリンは関心げに眺め。
意中の相手に花を贈るというキザったらしいまねをする猿に対して内心で笑い飛ばし。
一方、クー・フーリンが興味を持っている様子を見て。
植物関連の文献を手にしていたプロメテウスは目を細めた。
「できれば地に植え育てたいと思っていてな」
そんな風に贈り物が残されることを斉天大聖は望んでいないかもしれないがと神は苦笑をこぼし。
どう見ても木を主にして咲く花を枝から育てるつもりの神を前にクー・フーリンは口元をやや引き攣らせた。
秋の花
「あー…なんつーかアンタたまに結構重いよな……」
「クゥーン…」
end
(2025/10/09)
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