萌語り:アポレオ
◆花吐き病
(アポレオ)
花吐き病になったレオニダスとかいいな。
まだ付き合ってない時空で実は両片思いとかで。
自分以外に恋をしてると勘違いした結果、暴走するアポロンとか。
片思いで苦しむほどに愛してる?誰を?オレ様以外に?
医学の神なので花吐き病に関しては知ってる。
正式名称は、『嘔吐中枢花被性疾患』という病だと。
知ってはいるが、完治させるには人間の場合は恋の成就が必須事項で。
――そんなものは許せない。
レオニダスはアポロンに対して恋心を知られたくない。
太陽神を目で追いかけようとする自分が嫌いで嫌いで。
バカらしい、醜い、神に恋をするなんざ無意味だと。
抑え込み続けた果てに、気持ち悪いゲロ花病を知られた。
隔離という名目でレオニダスを監禁するアポロンとか。
何年でも、何十年でも、何百年でも、恋心を忘れるまでずっと。
相手を忘れるぐらいに外界と切り離せばいいと判断した太陽神。
それとなくレオニダスとの会話から反応を観察し。
片思いの候補としては、スパルタ兵かつ若者でハギスあたりかとアポロンは推測する。
より正確に言うなら、レオニダスより若くて、なおかつ恋心自体を知られたくない相手。
プラトニックでもいいが、どちらかと言えばレオニダスは抱かれたい側と。
確かにスパルタを含む地上界の古代ギリシャの男色ルールからは外れてる。
しかも上官と部下、レオニダスの性格からして受け入れられない条件が揃ってる。
それでもなお割り切れず、諦めきれず、否、諦めようと努力をした故かと神は思考し。
仮に時間経過で症状が治まったとしても、再発のリスクは高そうだと予想する。
周囲への二次被害を考えれば妥当といえば妥当かと。
アポロンが隔離を強行したことに対し、レオニダスは疑問に思わない。
幸か不幸か、太陽神を独り占めしている状態ゆえか花を吐く頻度は減った。
現金過ぎるだろと己の単純さに腹が立つ。
レオニダスが花を吐かなくなってきた事が喜ばしいアポロン。
吐く頻度が減った=相手を想う恋煩いの頻度が減ったと解釈。
一緒にいることが楽しい、レオニダスを独り占めしてる現状が嬉しい。
ああ、でも、症状が完全になくなったなら隔離し続ける理由がなくなるのかと。
神はややジレンマを感じる。
足繁く隔離所に来るアポロンに対し、レオニダスは苦い気持ちがこみ上げる。
花を吐く頻度は減った、それこそ完治したと錯覚しそうなほどに何事もなく。
感染を広げないようアポロンが自由を奪われている現状という犠牲の上で。
殺す方が楽だったろうに、何処までも神ってのは理不尽にお優しい。
そのお優しさを喜ぶ己が一番腹が立つ。
太陽神が現状を喜ばしく思ってると知らない人間は現状を唾棄する。
その後。
自己嫌悪とストレスからアポロン不在時に花吐き病の症状が極度にぶり返し。
アポロンが戻ってきた時には部屋はむせ返る程に美しい花にあふれていて。
その光景に、それほどに相手を恋しく思っている証明に。
言い知れぬ感情が神の中で込み上げる。
相手への感情を失くせる薬はねぇのかと憔悴しきったレオニダスから問われ。
キミが望むなら、とアポロンは恋心を失くす薬を用意する。
これでレオニダスの片思い相手への感情を消すことができる事を嬉しくも思うが。
そこまでしなければならない程にレオニダスに愛されている相手に神は嫉妬する。
――その事が、発病への引き金とも知らずに。
自身から零れ落ちた花弁へと視線を落とし、神は我に返る。
本来であればちゃんと先に想いを伝えるべきだったのに。
隔離という名目で一緒にいられる時間が嬉しくて。
ずっとこんな日が続けばいいと現状に甘んじて。
なんて美しくない事をしていたのかと。
人知れず花吐き病を発症し、それでも予定通りにレオニダスへと忘却の薬を飲ませ。
副作用によって眠りについたレオニダスを横たえ、後追いで自身も忘却の薬を飲む。
戒めに近いが、人間用に調整した薬ごとき神には正しく作用しない。
せいぜい、激情に駆られやすくなっている精神を落ち着かせる程度。
フェアじゃないな、と呟き太陽神は軽い眠りにつく。
起きたらちゃんと伝えよう、たぶんキミは怒るだろうけど、と思いながら。
すっかりとアポロンへの恋煩いが消えたレオニダス。
隔離所に足繁く通うなんざ馬鹿かあんた、と神に苦言する。
一方、太陽神の方は心に決めていた想いをレオニダスへと伝え。
アポロンから告白され、冗談ならやめろクソ太陽神と人間は不機嫌に葉巻をふかし。
その後、咳込み吐き出した白銀の百合をティッシュに丸めてゴミ箱へと捨て。
まだゲロ花病が続いてるぞクソヤブ医者、とアポロンに告げる。
花吐き病の完治の証たる白銀の百合。
悪態をつく人間の前で神は理解が追い付かずに固まる。
両想いになった?誰と?オレ様以外この場にはいないのに?
レオニダスより若くて――否、若い外見で?
なおかつ恋心自体を知られたくない相手=オレ様だった件。
自分の手でレオニダスからの恋心を消し去った太陽神。
精神構造がとにかく前向きなので一瞬にして今後の事を考える。
オーライ!要するにもう一度惚れてもらえば無問題(ノープロブレム)!
押して押して押しまくる、引くという選択肢ゼロな神様。
(2023/11/29)
(アポレオ)
花吐き病になったレオニダスとかいいな。
まだ付き合ってない時空で実は両片思いとかで。
自分以外に恋をしてると勘違いした結果、暴走するアポロンとか。
片思いで苦しむほどに愛してる?誰を?オレ様以外に?
医学の神なので花吐き病に関しては知ってる。
正式名称は、『嘔吐中枢花被性疾患』という病だと。
知ってはいるが、完治させるには人間の場合は恋の成就が必須事項で。
――そんなものは許せない。
レオニダスはアポロンに対して恋心を知られたくない。
太陽神を目で追いかけようとする自分が嫌いで嫌いで。
バカらしい、醜い、神に恋をするなんざ無意味だと。
抑え込み続けた果てに、気持ち悪いゲロ花病を知られた。
隔離という名目でレオニダスを監禁するアポロンとか。
何年でも、何十年でも、何百年でも、恋心を忘れるまでずっと。
相手を忘れるぐらいに外界と切り離せばいいと判断した太陽神。
それとなくレオニダスとの会話から反応を観察し。
片思いの候補としては、スパルタ兵かつ若者でハギスあたりかとアポロンは推測する。
より正確に言うなら、レオニダスより若くて、なおかつ恋心自体を知られたくない相手。
プラトニックでもいいが、どちらかと言えばレオニダスは抱かれたい側と。
確かにスパルタを含む地上界の古代ギリシャの男色ルールからは外れてる。
しかも上官と部下、レオニダスの性格からして受け入れられない条件が揃ってる。
それでもなお割り切れず、諦めきれず、否、諦めようと努力をした故かと神は思考し。
仮に時間経過で症状が治まったとしても、再発のリスクは高そうだと予想する。
周囲への二次被害を考えれば妥当といえば妥当かと。
アポロンが隔離を強行したことに対し、レオニダスは疑問に思わない。
幸か不幸か、太陽神を独り占めしている状態ゆえか花を吐く頻度は減った。
現金過ぎるだろと己の単純さに腹が立つ。
レオニダスが花を吐かなくなってきた事が喜ばしいアポロン。
吐く頻度が減った=相手を想う恋煩いの頻度が減ったと解釈。
一緒にいることが楽しい、レオニダスを独り占めしてる現状が嬉しい。
ああ、でも、症状が完全になくなったなら隔離し続ける理由がなくなるのかと。
神はややジレンマを感じる。
足繁く隔離所に来るアポロンに対し、レオニダスは苦い気持ちがこみ上げる。
花を吐く頻度は減った、それこそ完治したと錯覚しそうなほどに何事もなく。
感染を広げないようアポロンが自由を奪われている現状という犠牲の上で。
殺す方が楽だったろうに、何処までも神ってのは理不尽にお優しい。
そのお優しさを喜ぶ己が一番腹が立つ。
太陽神が現状を喜ばしく思ってると知らない人間は現状を唾棄する。
その後。
自己嫌悪とストレスからアポロン不在時に花吐き病の症状が極度にぶり返し。
アポロンが戻ってきた時には部屋はむせ返る程に美しい花にあふれていて。
その光景に、それほどに相手を恋しく思っている証明に。
言い知れぬ感情が神の中で込み上げる。
相手への感情を失くせる薬はねぇのかと憔悴しきったレオニダスから問われ。
キミが望むなら、とアポロンは恋心を失くす薬を用意する。
これでレオニダスの片思い相手への感情を消すことができる事を嬉しくも思うが。
そこまでしなければならない程にレオニダスに愛されている相手に神は嫉妬する。
――その事が、発病への引き金とも知らずに。
自身から零れ落ちた花弁へと視線を落とし、神は我に返る。
本来であればちゃんと先に想いを伝えるべきだったのに。
隔離という名目で一緒にいられる時間が嬉しくて。
ずっとこんな日が続けばいいと現状に甘んじて。
なんて美しくない事をしていたのかと。
人知れず花吐き病を発症し、それでも予定通りにレオニダスへと忘却の薬を飲ませ。
副作用によって眠りについたレオニダスを横たえ、後追いで自身も忘却の薬を飲む。
戒めに近いが、人間用に調整した薬ごとき神には正しく作用しない。
せいぜい、激情に駆られやすくなっている精神を落ち着かせる程度。
フェアじゃないな、と呟き太陽神は軽い眠りにつく。
起きたらちゃんと伝えよう、たぶんキミは怒るだろうけど、と思いながら。
すっかりとアポロンへの恋煩いが消えたレオニダス。
隔離所に足繁く通うなんざ馬鹿かあんた、と神に苦言する。
一方、太陽神の方は心に決めていた想いをレオニダスへと伝え。
アポロンから告白され、冗談ならやめろクソ太陽神と人間は不機嫌に葉巻をふかし。
その後、咳込み吐き出した白銀の百合をティッシュに丸めてゴミ箱へと捨て。
まだゲロ花病が続いてるぞクソヤブ医者、とアポロンに告げる。
花吐き病の完治の証たる白銀の百合。
悪態をつく人間の前で神は理解が追い付かずに固まる。
両想いになった?誰と?オレ様以外この場にはいないのに?
レオニダスより若くて――否、若い外見で?
なおかつ恋心自体を知られたくない相手=オレ様だった件。
自分の手でレオニダスからの恋心を消し去った太陽神。
精神構造がとにかく前向きなので一瞬にして今後の事を考える。
オーライ!要するにもう一度惚れてもらえば無問題(ノープロブレム)!
押して押して押しまくる、引くという選択肢ゼロな神様。
(2023/11/29)