萌語り:アポレオ

◆瑕疵
(アポレオ)

圧倒的な美しさと神々や女神たちが認めてたのは。
結局の所はアポロンの顔の造形に関してだけだった世界とか。

そんな中でラグナロクで負った傷を残してみたら。
何一つとして太陽神の中身は変わってないのに、顔の傷一つで周囲は変わったり。
笑えるほどに、こうまで周囲の対応は変わるのかと思う太陽神とか。

己は凡神ではあったが神というだけで恵まれていたのだと。
今更ながらに理解する。

なお、レオニダスはまったくもって太陽神の顔の造形なんざどうでもいい。
神の顔面に残った傷に関しても、漢前の面になったじゃねぇかと思う程度だし。
嫌ならさっさと治療でもすりゃいいだろ医学の神なんだろ?と発破をかけるほど。

情緒がないなーキミは、と傷を残しておきたかったアポロンはムッとする。
あの闘いを、魂焦がして迎えた結末の痕跡を、どうしてそう軽々しく扱えるのかと。

「俺様が気に入ったのは、ズタボロになろうが自分の信念貫き通すあんたの気概だけだ」

わざわざ傷をとっておく必要性なんざねぇよ、と葉巻をふかし。
バカらしいことをグチグチと言うなとばかりに人は読書へと戻り。

人間の言い分に目をしばたかせ呆気にとられていた神は。
暫く間を置いた後に盛大に笑い、一瞬で顔にあった傷を治し。
造形にとらわれないレオニダスのことをより一層気に入ったとか。


(2023/09/28)
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