萌語り:ハデ始

◆○○部屋トラップ
(ハデ始)

唐突に『○○しないと出れない部屋』トラップに閉じ込められた人類代表達とか。
そして、その脱出の過程で媚薬を一気飲みする始皇帝。
一番毒物に慣れてる+他が潰れても脱出的に難しいと判断しての事。
始皇帝がカパカパと気軽に飲んで容器を空にしていくので慌てる周囲。
毒であれば朕が一番に慣れていると平然と言い切る始皇帝は、言葉の通りにしばらく経っても平然としてる。

さっさと出ることが肝心だと総力を挙げて脱出を試みる人類代表達だったが。
リアル脱出ゲームのように連続する部屋と、神経を逆なでするようなお題の数々にブチ切れそう。
なお、分断に次ぐ分断が相次ぎ、ラストは個々人でクリアしないといけなくなったり。

他の者達と分断され、一人で通された部屋のお題が分からない始皇帝。
もっとも、そうはいっても何かヒントは無いかと部屋を探るも、あるのは寝台のみ。
少し休憩をと軽口を叩きながら座ったが、薬の影響でそのまま体が崩れ落ちるように寝台へとダイブ。
他者がいる手前でならいくらでも耐えることもできたが、独りきりという状況のせいで抑えきれず。
朦朧とする意識の中、無意識に口にしたのは冥界の王の名で。

誰も助けてくれる訳がないと分かり切っていて。
何故、縋るように他者の名を呼んだのか。
自分が口にした言葉に、心底あきれて無性に笑いがこみ上げる。
笑って、笑って、笑い続け、疲れ果てた末に体から力を抜く。

身じろぎをすることすら怠く。
寝ていれば治ると意識を沈めていけば。
不意に己の玉体に触れる者がいることを知る。

その声を知っている。
その体温を知っている。
その触れ方を知っている。
神とは、なんと無礼で頭が高いものか。


後に判明した部屋のお題。
『望んだ相手とキスしないと出れない部屋』


舞台裏。
『○○しないと出れない部屋』とは、何処の誰が創ったのか不明、とまでは言わないが。
この手のモノを創るような神など――と個々神がバラバラに犯人を思い浮かべ。
ろくに調べもせず初めの内は脅威とすら思わず、無視(スルー)した結果。
昨今では神々の間ですら被害報告が上がるようになった概念。

そんな部屋に人類代表達が閉じ込められたのは。
他意も悪意もそこにはなく、単なる偶然で運が悪かった。
冗談のようなネーミングのトラップだが、実際の所かなり厳格な概念で構成されている部屋ゆえに。
仮に閉じ込められたら神々ですら素直にお題クリアをした方が脱出が早かったり。

いきなり『○○しないと出れない部屋』に招待されたハデス。
かなり弱った状態の始皇帝と部屋のお題を見て。
余を望んだのかと、口元に微かに笑みを浮かべるが。
自身が浮かべた笑みに関しては無自覚。


(2021/11/08)
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