萌語り:ハデ始

◆花の色は
(ハデ始)

ハデスから薔薇の花束を貰う始皇帝とか。
始皇帝が365本の黒薔薇を貰ってきたのを見て、ドン引きするアルヴィト。
色んな意味で神の愛が重い。

始皇帝は良き香りの花だと薔薇の事を気に入り。
自分もいつかハデスへと贈ってみたくなったり。

なお、始皇帝はハデスから貰った薔薇の色の事は知らない。
黒薔薇って意味合いが一番怖い色じゃない!!とガクブル状態のアルヴィトが教えなかった。
いったいどれだけの事をしでかせば、そんな花束(?)を贈られるのかと。

後で黒薔薇に関する別の花言葉をアルヴィトは知ったが。
それはそれで重いし怖い……と、冥界の王の始皇帝に対する執着度を前に再度引き。
始皇帝には絶対に教えない事を決意し、心の中にしまい込んだ。

それか、イングリッシュガーデン風の庭で人類代表組が茶話会をして。
お開きになった後、始皇帝が花が咲き誇る庭の散策をするとか。
どんどん進んで、生垣の迷宮へと入り込んでいき。
いつしか、色とりどりの薔薇のみが咲く場所へと抜け。

その後。
素晴らしいものですね、といつの間にか始皇帝の横にジャックがついたり。
小さきレディ達から迷子対策要員として指名されていた老紳士。

そして、薔薇園を散策しながら暫し世間話をするジャックと始皇帝とか。
やはり良き香りの花であると薔薇を愛でる始皇帝を、少しばかり意外に思うジャック。
生前に触れたことがある花でしたか?と微笑みながら質問をしてみたり。
否と返された答えにさらに探りを入れれば、冥界の王から前に貰ったらしく。

おてんば娘が言うには300本以上はあったらしいと、笑い話のように始皇帝は言い。
なかなか重い贈り物ですねと、冗談を受け取ったジャックは朗らかに笑うが。
ふと、目の前に咲き誇る薔薇の数々が目に入り。

300本以上とは、いったいどれほどの花束に…?と少しばかり真顔で考え込んでしまったり。
そんな花束を軽々と受け取れるのは、器が広すぎる王でなければまずもって不可能ではと。


(2022/02/28)
39/56ページ