萌語り:ハデ始

◆ピアスと耳飾り
(ハデ始)

ピアスを忘れたハデスと、いつもの耳飾りではない物を付ける始皇帝とか。

ハデスがピアスを付け忘れていたことに気付いたのは。
ゼウスに思いっきり指をさされ、ほっほっほっ!と笑われたからだったり。
長兄がポカをやらかすのはほぼ見たことがないのでからかう末弟。
珍しすぎるハデスの姿に、ヘルメスやアレスまで少し驚く。

原因的には、朝の身支度時にまだ寝ている始皇帝を見て。
ほんの少しばかり調子が狂ったせい、とは気付かない冥界の王。
愛おしいなどと、人間に対し浮かぶはずがない。

他者にからかわれる経験があまりないので不快なハデス。
さっさと取りに戻るつもりで移動するが、ピアスは見当たらない。
代わりに始皇帝の耳飾りが落ちていたので、色々と察した。
今から始皇帝(迷子)の大捜索かと考え頭が痛くなる。

ハデスのピアスを付けてのんきに散歩してる始皇帝。
周りがざわついているのは感じているが気にせずに進む。
朕の耳飾りは何処に行ったのか、ハデスに会えたら訊こうと思っている。

周囲がいっそう騒がしくなったと思った瞬間、体を担ぎ上げられた始皇帝。
人気のない所まで拉致された後に降ろされる。
耳元に触れられ、何をするものかと思っていれば耳飾りを付け替えられ。
いつもの耳飾りの感触に戻っている事に気付き。
目の前の相手へ、よくぞ見つけたと褒めて遣わす始皇帝。

やはりいつのも耳飾りは良いと上機嫌な人間に対し。
神の私物を無断で使用していた人間の悪びれもしない尊大な態度に、怒るのも馬鹿らしくなる冥界の王。


(2021/11/08)
1/56ページ