萌語り:ハデ始

◆遊郭パロ
(ハデ始)

遊郭パロで、楼主な始皇帝とか。

大の方向オンチで、たまに妓楼の客室の方に迷い込み。
服装が豪奢かつ露出多めなので、色々と間違われたり。
迷い込んだ先の客室では、悪質な客がいることが多く。
不好と言い放ち、軽々と店から放り出すのが日常とか。

そんなある日。
今日も今日とって妓楼内で迷子になってる楼主の始皇帝。
接待客として妓楼へと案内されていたハデスに出会うとか。
くだらないものだと思いながらも接待を受けていたハデスだったが。
始皇帝と出会った瞬間――

幼子が何故このような場所にいるのかと、流石に看過できず問題視した。
始皇帝を男娼と間違えた上に子供だと勘違い。

こんな場所にいるべきではないと始皇帝を身請けしようとするハデス。
あれよあれよという間にハデスの肩に担ぎ上げられた始皇帝。
なかなかに愉快な出来事に調子に乗り。
遊女の身請け代の最高金額を男に払わせてやる。

そんな金額を軽々と支払う方もどうかしていると言えばしているが。
その後、ハデスによって妓楼から連れ出されてしまった始皇帝は考える。
さて、いつネタばらしをするべきかと。

無問題、とは流石に言えなかった。

なお、ハデスは身請け代の相場など知らずに支払った。
子供を物品として扱うなど愚かしさに怒りすら感じるが。
もっとも、その手の好事家にとっては極上の品だとも理解はできる。
放っておけば、また遊郭へと連れ去られるのが目に見える。
余の幼妻とし囲うべきかと身請けした責任を取る気のハデス。

しかしその後、いきなりの身請けによって戸惑っていると思っていた子供から。
「朕はあの妓楼の楼主である」と言われ、呆気にとられる。

始皇帝のネタばらしに対し。
「なるほど、そうか――」と呟いた後に笑い出すハデス。
一頻り笑い飛ばした後、しかし余が貴様を身請けしたのであろう?と切り返す。
それについては調子に乗り過ぎた事を白状し金は返却すると始皇帝は言うが。
目の前の男は、あくまで身請けしたものとして扱おうとしてくる。

「身請けしたものを余がどう扱おうと、自由であろう?」
「不好。貴様、面白がっているだけであろう」

険悪な空気がその場には流れるが。
ところで齢はいくつかとハデスに尋ねられ。
予想外な質問に対し素直に答えてしまう始皇帝。
思ったよりも始皇帝が子供ではないことを知り、楽しげに苦笑を零すハデス。

その後、一夜を共にしハデスに陥落させられた始皇帝とか。
しかも情事の最中に色々と約束させられてしまった。
まあ、自業自得と言えばそれまでの話。


そんな感じの、設定や世界観がふわっとしたままに考えた遊郭パロ。
しいて言うならイメージ的には和風ファンタジー系とか萌える。
幽世とか妖とか、そんな感じの夢幻の虚ろな世界。

生者だったのに幽世に迷い込んだ始皇帝でもいい。
そこら一帯を支配していた化け物をぶっ倒して楼主になったとか。

幽世の者が調理した食事だと食欲が微塵もわかず、不思議と腹も空かず。
外を散歩してる時にそこらに生ってる桃を適当にもいで食べる程度で。
ヨモツヘグイを知らない間に辛うじて回避していたが。

一夜明け。
何か口にしたいとハデスに言ったら冥界のザクロを出されてしまい。
晴れてヨモツヘグイをしてしまった人の子とか。

ハデスが始皇帝を人間の生者だと知ったのは。
始皇帝からの楼主ネタばらし後、よくよく相手を眺めた時に気付いた。
人間の生者であれば、こちらからしてみれば幼子も同然に見えるのも道理で。
では身請けされたのは何故かと考えれば、人間に謀れたとしか言いようがなく。
そこまで考え、愉快過ぎる事実を前に笑いが込み上げてきた。


(2021/12/31)
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