萌語り:ハデ始

◆小ネタ詰め合せ2
(ハデ始)

ソファーで始皇帝の胸を枕にして寝ていたハデスとか。
起きたら何故か温かな物体を下敷きにしてた驚き。

経緯的には。
ハデスが居眠りをしているのに気付いた始皇帝が暫し考えた後。
グイっと相手を引き寄せて、トサッとハデスの頭を自分の胸に抱いてやった。
朕が甘やかすのもそうはないぞ?と寝ているハデスに対して笑い。
途中までは相手の髪を撫でてみたりして楽しんでいたが。
気付けば自分も居眠りをしていた始皇帝。

その後、ようやく目覚めた神に対し爽やかに声をかけてやる人の子は。
内心が複雑すぎる冥界の王が、何とも言えない顔をしてるのには気付かない。

とても勿体ないことをした。
否、人間ごときに気を使われるなど。
この余が居眠りをしていた?ありえぬ。

暫く冥界の王はグルグルと頭の中で考え込みフリーズ状態。
それにしても程よい寝心地だったという結論に達するせいで目も当てられない。
もっとも、始皇帝の気まぐれだったので二度とはない機会だったのかもしれない。



始皇帝へと会いに行ったハデスの災難とか。
歴代皇帝達が始皇帝に謁見するために列をなし。
最後尾のプラカードを劉備が手にしてる光景を前に。
意味の分からなさから虚無顔で眺める冥界の王。

ハデスが来た音がしたので立ち上がって声をかける始皇帝。
ズザッとすぐさま始皇帝の為に道を開ける歴代皇帝達。
綺麗に割れた人波のど真ん中を始皇帝は歩き。

他神のふりをして回れ右で無視して帰るハデス。
ハデスとの距離が離れるのが謎で早歩きで付いてく始皇帝。
神と人の追いかけっこが今始まる。



今世風に言うなら過労死だった始皇帝とか。
例えて言うなら、エナドリや栄養剤を大量摂取しながらのオーバーワーク。
薬も過ぎれば毒になるとは本当であったと笑いながら言う始皇帝。

なお、始皇帝の死因を聞いていたハデスは。
ふと冥界の王に就任したばかりの時の事を思い出し。
似たようなことをした覚えがあるので笑うに笑えず、遠い目をする。
ほぼワンオペ状態だった王様達のあるある話。



朝起きたら始皇帝が布団に潜り込んでいたとか。
なぜ朕の布団で寝ている?と神に対して質問する失礼な人間。

それか、ふと目が覚めたら始皇帝に毛布を全部取られてたハデスとか。
隣でもふもふの布を独占して丸まってる始皇帝。

人間と付き合い始めてから、何故か理不尽なことが起こりやすい神様。



ハデスの顔を覗き込むような形で手を添える始皇帝とか。
いきなり引き倒された冥界の王が、何をするものかと顔を上げれば。
対面の状態で、人は相手の顔を覗き込むように手を添え。

「――あまり放置をするでない。朕によそ見をして欲しいのか?」

それが嫌であれば構えと、自分を人質にとって人の子は脅迫する。
余裕の笑みで煽ってくる人間に対し、冥界の王はいともたやすく釣られる。

なお、原因的には、ハデスが情報端末を使用していて始皇帝を放置したから。
末弟ゼウスからのイベ開催連絡に対し、くだらん用件であれば消すぞと返信中だった。

よそ見によって放置していた神への皮肉。
とうの昔に、その瞳に人の子は誰も映せはしないが。
お前以外へと目を移してしまうぞという脅しは、神へとよく効く。


(2021/12/11)
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