アポレオ
「楽しみだね、レオ!」
旅行のパンフレットを片手に、歌でも歌い出しそうなほどに上機嫌なゲイレルルは浮かれに浮かれ。
同じパンフレットを眼鏡をかけながら読んでいたレオニダスは戦乙女のはしゃぎっぷり程はしゃぎはしないが。
楽しみに思っていることに関しては同意した。
「まさか、買い物ついでのクジで旅行券が当たるとはな」
乙女の長い長い買い物に荷物持ちとして同行したのはつい先日。
帰りがけのくじ引きでゲイレルルが一等を当て、今回の旅行は決定した。
『何処へ行くかは当日までのお楽しみ』というコンセプトのミステリーツアー。
とはいえ、パンフレットのヒントを見れば神であればある程度予想はつくらしく。
現に数日前、勝手に人のパンフレットを一読していたアポロンは理解していた様子だった。
「……やけに物わかり良く手放しで旅行を歓迎してやがったな」
もっとごねるか、「オレ様も共に行こう!」と乗り出してくるものとばかり思っていたが。
いっそ不気味なほどに眩しい笑みでいたのは何だったのか。
「…………」
ぷはぁ~と葉巻の煙を吹き出し。
考えても詮無いことかとレオニダスは思い直した。
「同じ感じのツアーの口コミだと宿泊場にはでっかい温泉があるんだって!」
「あいつに全部聞いた方が早いんじゃねぇか?」
「情緒がないねレオは! ミステリーツアーからミステリーがなくなるじゃないか!」
巌のようなレオニダスの肩をパシパシ叩いてゲイレルルは抗議し。
乙女心はよくわからんと思いつつも一蓮托生した戦乙女が楽しげな様子なのは好ましく。
じゃれ合い以外の何ものでもない攻撃をレオニダスはあえて受け入れた。
「最近、アポロンが上機嫌過ぎて不気味なんだが……」
神々の居城にて、世間話にしては重々しい口調でアレスは話を切り出し。
普通にお茶を共にしていたヘルメスは目を瞬かせながら聞き手に回った。
「自前の居城の大規模清掃までして……あいつは何を考えてるんだ?」
「それでしたら、かの対戦相手だった人間と戦乙女にペア旅行券が当たったから、だそうですよ」
「え、何でそれが理由に? 一緒に行くからテンション高いとかそういう?」
「その旅行先がアポロンの居城のようで」
「はぁあ!?」
何その偶然どうやったら旅行先が太陽神の居城になるのかとアレスは理解が追い付かず。
まったくもって頭が回らない兄に対し補足をするようにヘルメスは言葉を続けた。
「元々、女神達の間では密かに人気の買い物クジだったそうですよ」
「あ……あー、つまり。戦乙女が知らずに当てた…?」
おそるおそる、しかし謎は全て解けたとばかりにキリッとした顔でアレスは答え合わせを求め。
正解ですとばかりの笑みをヘルメスから貰い、一瞬は喜んだが、さらなる疑問が生まれ首を傾げた。
「騙し討ちっぽくないか?」
「少なくとも、大規模清掃した居城が大規模改修になる可能性はありますね」
ミステリーツアー
ぶち切れ不可避の旅行先。
end
(2025/04/03)
旅行のパンフレットを片手に、歌でも歌い出しそうなほどに上機嫌なゲイレルルは浮かれに浮かれ。
同じパンフレットを眼鏡をかけながら読んでいたレオニダスは戦乙女のはしゃぎっぷり程はしゃぎはしないが。
楽しみに思っていることに関しては同意した。
「まさか、買い物ついでのクジで旅行券が当たるとはな」
乙女の長い長い買い物に荷物持ちとして同行したのはつい先日。
帰りがけのくじ引きでゲイレルルが一等を当て、今回の旅行は決定した。
『何処へ行くかは当日までのお楽しみ』というコンセプトのミステリーツアー。
とはいえ、パンフレットのヒントを見れば神であればある程度予想はつくらしく。
現に数日前、勝手に人のパンフレットを一読していたアポロンは理解していた様子だった。
「……やけに物わかり良く手放しで旅行を歓迎してやがったな」
もっとごねるか、「オレ様も共に行こう!」と乗り出してくるものとばかり思っていたが。
いっそ不気味なほどに眩しい笑みでいたのは何だったのか。
「…………」
ぷはぁ~と葉巻の煙を吹き出し。
考えても詮無いことかとレオニダスは思い直した。
「同じ感じのツアーの口コミだと宿泊場にはでっかい温泉があるんだって!」
「あいつに全部聞いた方が早いんじゃねぇか?」
「情緒がないねレオは! ミステリーツアーからミステリーがなくなるじゃないか!」
巌のようなレオニダスの肩をパシパシ叩いてゲイレルルは抗議し。
乙女心はよくわからんと思いつつも一蓮托生した戦乙女が楽しげな様子なのは好ましく。
じゃれ合い以外の何ものでもない攻撃をレオニダスはあえて受け入れた。
「最近、アポロンが上機嫌過ぎて不気味なんだが……」
神々の居城にて、世間話にしては重々しい口調でアレスは話を切り出し。
普通にお茶を共にしていたヘルメスは目を瞬かせながら聞き手に回った。
「自前の居城の大規模清掃までして……あいつは何を考えてるんだ?」
「それでしたら、かの対戦相手だった人間と戦乙女にペア旅行券が当たったから、だそうですよ」
「え、何でそれが理由に? 一緒に行くからテンション高いとかそういう?」
「その旅行先がアポロンの居城のようで」
「はぁあ!?」
何その偶然どうやったら旅行先が太陽神の居城になるのかとアレスは理解が追い付かず。
まったくもって頭が回らない兄に対し補足をするようにヘルメスは言葉を続けた。
「元々、女神達の間では密かに人気の買い物クジだったそうですよ」
「あ……あー、つまり。戦乙女が知らずに当てた…?」
おそるおそる、しかし謎は全て解けたとばかりにキリッとした顔でアレスは答え合わせを求め。
正解ですとばかりの笑みをヘルメスから貰い、一瞬は喜んだが、さらなる疑問が生まれ首を傾げた。
「騙し討ちっぽくないか?」
「少なくとも、大規模清掃した居城が大規模改修になる可能性はありますね」
ミステリーツアー
ぶち切れ不可避の旅行先。
end
(2025/04/03)
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