萌語り:アポレオ

◆時間の逆説
(アポレオ)

青年神アポロン(修行前)と少年レオニダスが出会うとかいいな。
子供の頃から凡神として見られ続け、やや腑抜けというかガッツがない青年アポロン。
状況を打破しようという気力もないし凡神な自分が嫌いで現状を直視したくない。
ナルシストなんてもっての外、どこまでも控えめというか自信がない。

逆に、超絶生意気で自信家で絶対に己を曲げない少年レオニダスとか。
そんな自分よりも幼い相手の姿を見て奮起する青年神アポロンとか見たい。
キラキラと輝く一等星のように眩しい存在。人間という限りある命ゆえの鮮烈さ。
まだ人間は創られていない時代だからこそ神は錯覚する。

騒がしくも忙しなく楽しい時間はあっという間で、出会った時と同じく唐突に少年はいなくなる。
少年がいなくなったと同時に、相手の姿が記憶の中からおぼろげになる青年アポロン。
ただ、現状に甘んじることなく努力していく姿勢だけが心に残り、凡神を変えてゆく。

それか、現在のアポロンと付き合ってるレオニダスが出会うでもいいな。
ナルシストで八方美人で太陽神としての矜持とガッツのある現在のアポロンとの違い。
素直っちゃ素直だが、卑屈過ぎる、あんたはもっと――と昔と今を比較しかけて止める。
こんな状況から輝ける太陽神になったのかと、感慨深く思うレオニダスとか。

その後、レオニダス監修のスパルタ式で鍛えられる青年神アポロンとか。
何処の幻想種か精霊かは知らないが、肉体的には神より脆弱な相手に負け。
神が鍛えたところで意味はないと思ってたのに、ほんの少しだけ変われた実感を持ち。
やれば出来るじゃねぇか、と晴れやかに笑う相手に一目惚れしたのに。
徐々に透けて最後には目の前から消えてしまった相手。
所詮はうたかたの夢、朝露の君。


(2023/12/21)
7/9ページ