萌語り:ハデ始

◆親切な上着
(ハデ始)

背中にキスマークが付いてるのにいつも通りの服を着て人類代表達の茶話会に参加した始皇帝で。
その場ではジャックが機転を利かせて始皇帝の背を隠すように上着を用意したが。

ジャックがかけた上着は、雷電(着物姿)が背もたれに引っ掛けておいた龍の羽織だったとか。
ラグナロクでの入場時に最初に雷電が羽織ってた、名前までガッツリ入ったアレ。

その後、そのまま始皇帝が龍の羽織を着たまま帰ってしまい。
「……ワシ、巻き込まれんか?」と思わなくもなかった雷電とか。
羽織自体は後で返却されるならそれでいいが。
痴話喧嘩には巻き込まれたかぁない。

なお、ジャックはそれを見越して自分のではない上着を始皇帝にかけた。
ただの親切心だけで行動するわけがない紳士の、ちょっとした茶目っ気。

他人の服を羽織って迷子になりながらも帰ってきた始皇帝。
今日の出来事をハデスに話してやろうとするが、冥界の王は不機嫌な様子。

始皇帝が他者の服を引っ掛けて戻ってきたのに対し。
およその経緯は推測はできるが、それはそれとして不快ではあるハデス。
親切であったと他の人類代表共の行動を褒める始皇帝の能天気さも不快の一端。

室内であれば寒さもすでに関係はなく。
上に羽織っていたのをハデスが脱がしてきても不思議には思わない始皇帝。
不愉快な他者の服を取り除き、いまだ理解していない様子の人間に対し。
愚かなものだと、始皇帝を抱き寄せながらその背に触れたハデスは嘲笑する。


(2021/11/09)
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