萌語り
◆一方通行
(鏡→柳→圓→鏡)
柳田が好きで自分の物にしたい鏡斎。
九相図を使えばてっとり早く手に入れられるけど、生きて自分の近くにいる柳田が欲しい。
ただ、柳田が見つめる先はいつも圓潮。
江戸の時に山ン本が奴良組に倒された後。
〈山ン本さん〉復活の可能性を語られ一緒に地下に行き、頼りがいのある圓潮に惚れた柳田。
圓潮に山ン本様の面影を全力で追いかけた結果の盲目的な信頼。
同じ〈山ン本さん〉なのに少し不公平だと感じる鏡斎。
口が上手ければ心を掴めるのかと、圓潮の語る怪談を聞きながら考えたり。
無条件に柳田に好かれる口と、作品を通してでしか柳田が来ない腕。
その内に圓潮の声すらも聞きたくなくなり、青蛙亭に行かなくなる鏡斎。
新しい怪談噺を聞きに来なくなった鏡斎に対し、家に行って何故なのかと尋ねる圓潮。
噺なら柳田サンから聞けば充分だと、家に来た圓潮に対して言う鏡斎。
噺家としての矜持を傷つけられるネェ、と飄々とした態度で返す圓潮の態度さえ癇に障ったり。
■
「……あんたのそう言う所が嫌いだ」
「酷いもんだ。何でもかんでも否定される身にもなって欲しいよ」
「何でも手に入れられるあんたが言うな」
「あたしが、何でも手に入れられる?」
可笑しなものだと、冗談事のように笑う圓潮。
その態度に、鏡斎は眉間に皺を寄せた。
「……なんで笑う?」
「何でも手に入ると見られてたなんてネェ」
これが笑わずにいられるかと呟き、圓潮は笑う事を止め鏡斎を見据えた。
「一番欲しいものが手に入れられずに、そう思われるのは心外だよ」
「なに言って……」
「あたしが一番欲しいのは、お前さんだよ――鏡斎」
顔を近くまで寄せ、言霊を使い相手の耳元で圓潮は囁いた。
次の瞬間には、胸元を突き飛ばすように押され、警戒するような視線を向けられた。
「……冗談にしてはやりすぎだ」
囁かれた側の耳を手で塞ぎ、睨みながら鏡斎は圓潮に対して言った。
「冗談、ねぇ? あたしの一世一代の告白も、お前さんにとっては冗談かい?」
「二度と来るな。オレの家に」
「それは断るよ。まぁ、今日の所はこれ以上いても嫌われるだけだろうから、帰ろうとしようか」
立ち上がり、縁側へと向かう圓潮。
その足取りは、思い出したかのように立ち止まり、まだ睨みつけてくる鏡斎へと振り返った。
「あぁ、そう言えば。お前さんの言う柳田のあたしに向けての好意だがねぇ、
あれはお前さんの思ってるような甘ったるい感情ではないとあたしは思うよ」
「……信じられるか」
「代用品だよ。山ン本さん身代わり。依存相手。
その対象に選ばれたのが、偶々あたしだった。それだけの理由さ」
所詮は代用品。
その対象は誰であってもいいと断言できる。
「仮に柳田がお前さんを見ても、あたしの時と同じように、それは山ン本の代わりとしてだけだ」
「…………」
「それでもお前さんは、柳田を好いていられるかい?」
■
言霊を使っているのではと思うほどに響いてくる圓潮の言葉に、最後まで反抗的な目を向け。
都合の良い作り話ですら信じさせるほど圓潮の実力は知っているので、胡散臭いとしか思えない鏡斎。
信じるはずもないか、と恋敵とみなされた状況で苦笑する圓潮。
と、言う感じのカオスなCPもたまにはいいなと思った。
(2013/11/06)
(鏡→柳→圓→鏡)
柳田が好きで自分の物にしたい鏡斎。
九相図を使えばてっとり早く手に入れられるけど、生きて自分の近くにいる柳田が欲しい。
ただ、柳田が見つめる先はいつも圓潮。
江戸の時に山ン本が奴良組に倒された後。
〈山ン本さん〉復活の可能性を語られ一緒に地下に行き、頼りがいのある圓潮に惚れた柳田。
圓潮に山ン本様の面影を全力で追いかけた結果の盲目的な信頼。
同じ〈山ン本さん〉なのに少し不公平だと感じる鏡斎。
口が上手ければ心を掴めるのかと、圓潮の語る怪談を聞きながら考えたり。
無条件に柳田に好かれる口と、作品を通してでしか柳田が来ない腕。
その内に圓潮の声すらも聞きたくなくなり、青蛙亭に行かなくなる鏡斎。
新しい怪談噺を聞きに来なくなった鏡斎に対し、家に行って何故なのかと尋ねる圓潮。
噺なら柳田サンから聞けば充分だと、家に来た圓潮に対して言う鏡斎。
噺家としての矜持を傷つけられるネェ、と飄々とした態度で返す圓潮の態度さえ癇に障ったり。
■
「……あんたのそう言う所が嫌いだ」
「酷いもんだ。何でもかんでも否定される身にもなって欲しいよ」
「何でも手に入れられるあんたが言うな」
「あたしが、何でも手に入れられる?」
可笑しなものだと、冗談事のように笑う圓潮。
その態度に、鏡斎は眉間に皺を寄せた。
「……なんで笑う?」
「何でも手に入ると見られてたなんてネェ」
これが笑わずにいられるかと呟き、圓潮は笑う事を止め鏡斎を見据えた。
「一番欲しいものが手に入れられずに、そう思われるのは心外だよ」
「なに言って……」
「あたしが一番欲しいのは、お前さんだよ――鏡斎」
顔を近くまで寄せ、言霊を使い相手の耳元で圓潮は囁いた。
次の瞬間には、胸元を突き飛ばすように押され、警戒するような視線を向けられた。
「……冗談にしてはやりすぎだ」
囁かれた側の耳を手で塞ぎ、睨みながら鏡斎は圓潮に対して言った。
「冗談、ねぇ? あたしの一世一代の告白も、お前さんにとっては冗談かい?」
「二度と来るな。オレの家に」
「それは断るよ。まぁ、今日の所はこれ以上いても嫌われるだけだろうから、帰ろうとしようか」
立ち上がり、縁側へと向かう圓潮。
その足取りは、思い出したかのように立ち止まり、まだ睨みつけてくる鏡斎へと振り返った。
「あぁ、そう言えば。お前さんの言う柳田のあたしに向けての好意だがねぇ、
あれはお前さんの思ってるような甘ったるい感情ではないとあたしは思うよ」
「……信じられるか」
「代用品だよ。山ン本さん身代わり。依存相手。
その対象に選ばれたのが、偶々あたしだった。それだけの理由さ」
所詮は代用品。
その対象は誰であってもいいと断言できる。
「仮に柳田がお前さんを見ても、あたしの時と同じように、それは山ン本の代わりとしてだけだ」
「…………」
「それでもお前さんは、柳田を好いていられるかい?」
■
言霊を使っているのではと思うほどに響いてくる圓潮の言葉に、最後まで反抗的な目を向け。
都合の良い作り話ですら信じさせるほど圓潮の実力は知っているので、胡散臭いとしか思えない鏡斎。
信じるはずもないか、と恋敵とみなされた状況で苦笑する圓潮。
と、言う感じのカオスなCPもたまにはいいなと思った。
(2013/11/06)