萌語り

◆家事情

鏡斎の家は、どんな間取りだったんだろうか。
そもそも、障子一枚隔ててすぐ外とか、どんだけ防音設備が0な家なんだ。
声とか駄々漏れじゃないか。
鏡斎がそんなに大声出さないから別に不都合ないかもしれないけどな。
誰も通りはしないとか思って開け放ったままやってたら普通に危険だからな。
いくら電柱に木材が使われてるような時代に取り残された家の近所に誰も来ないからって、普通に外から丸見えだからな。

鏡斎の家が、領域型の場所だったと仮定したら。
何で柳田が通えたのかは<鼻>と一緒だったからとか少しは考えるから。
領域と言うより結界な気もしないではないけど。
そう言えば生前の〈山ン本さん〉が限られた人しか入れない結界内で百物語やってたよな?
その結界って誰が作ったんだろうね。
柳田だったら有能としか言いようがないな。

そもそも、柳田って〈山ン本さん〉が作った妖怪だったんだろうか。
弱そうなのに手元においてたのは始めに作った妖怪だったからとかだったのか?
そうだとしたら、どんな噺だったんだろうな……
柳田が初めての作った妖怪だったら〈山ン本さん〉が若干可愛く思える。
弱い事分かっててそれでも一番初めの処女作だったから手元にずっと置いてたとかが即行で思いつくな。
柳田の小物臭も〈山ン本さん〉が一番初めに作った妖怪の自分は強くないといけないとかの気負いが空回りした結果だったりとか。
強くないといけないけど、周りと比べたら弱いことが分かりきってて、その事が余計にコンプレックスでヒステリックになりやすかったり。
弱い事なんか産みの親の〈山ン本さん〉が一番知ってるから、あんまり無理しないようブレーキかけてたんだろうな。

もし柳田に結界を張れる能力があったりとかしたら、ヤンデレの素質があると思う。
大事な人を自分の力が効いてる場所に囲うんだぜ?
むしろ柳田も領域型の妖怪だったら面白いのにな。
鏡斎の家の周辺が柳田の領域で、だから鳥居ちゃんが迷い込んできたときすぐに気絶させて捕まえられたとか。
鏡斎の家って、領域型の場所だったんだろうか?
だとしたら、それはそれで楽しめるな。


(2013/03/19)
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