萌語り
◆欠損
鏡斎が自分の腕を描き足していたあの術、世に生まれてすぐに出来る事じゃなかったとしたら……
腕を無くて欠損したまま過ごさないといけない時期があったとしたら萌える。
欠損理由は無防備に外に背を向けていつも通りに描いていたら、妖怪が生まれる所を他の組妖怪に見られて危険因子排除とばかりに切りかかられて後ろからバッサリとか?
腕がなくなったら描く事が出来なくて自暴自棄になるとか、何百年も生きられる妖怪の体が恨めしくなったりとか、色々とあるかなと。
勿論、食事は他人の手を借りないとできないだろうから世話役が必要。
考える事しか出来なくなるとろくな事を考えなくなって、用意される食事を断って緩やかな自殺とか。
食事を用意する方としては救いようがないぐらいに頑なに断ったり。
描けなくなってお荷物でしかないのに何で構うんだとか疑問に思ったり。
それでも必要だと言われても心に響かなそう。
例えるなら、
■
「また食べないのかい?」
「……圓潮」
「もう何日目になるだろうネェ」
「圓潮」
「どうかしたかい、鏡斎」
「……なんでオレはまだ生きてるんだ?」
「死にたいのかい?」
「絵が描けなくなった体で生きる意味があるのかよ」
「少なくとも、あたしはお前さんに生きていてほしいと思うよ」
「死体も同然のこの体でもか?」
質量のなくなった袖を軽く揺らし、心底不思議そうに鏡斎は聞いた。
■
という感じかな。
最後は絵を描きたい事だけしか頭に浮かばず、何で描けないんだとすでにない自分の腕を見て苛立ち、自分が描いたものが本物になるのなら、無くした腕も本物にさせてやると筆を咥えて描いてみせるとか。
……実際に欠損部分を直せる術を身に着けたら着けたで、百物語組内の医者代わりになりそう。
後先考えなさそうな雷電とかはしょっちゅう鏡斎の所へ行って傷を治してもらっていそうだなと。
もう少し考えて怪我しろよ描きにくいだろ、とか呆れながら言う鏡斎とか。
その時は調子よく返事をして、少し経ったらまた怪我をして鏡斎の所へ行く雷電とか。
産まれたてじゃそこまで完璧じゃないだろうという感じで想像したネタ。
(2012/08/11)
鏡斎が自分の腕を描き足していたあの術、世に生まれてすぐに出来る事じゃなかったとしたら……
腕を無くて欠損したまま過ごさないといけない時期があったとしたら萌える。
欠損理由は無防備に外に背を向けていつも通りに描いていたら、妖怪が生まれる所を他の組妖怪に見られて危険因子排除とばかりに切りかかられて後ろからバッサリとか?
腕がなくなったら描く事が出来なくて自暴自棄になるとか、何百年も生きられる妖怪の体が恨めしくなったりとか、色々とあるかなと。
勿論、食事は他人の手を借りないとできないだろうから世話役が必要。
考える事しか出来なくなるとろくな事を考えなくなって、用意される食事を断って緩やかな自殺とか。
食事を用意する方としては救いようがないぐらいに頑なに断ったり。
描けなくなってお荷物でしかないのに何で構うんだとか疑問に思ったり。
それでも必要だと言われても心に響かなそう。
例えるなら、
■
「また食べないのかい?」
「……圓潮」
「もう何日目になるだろうネェ」
「圓潮」
「どうかしたかい、鏡斎」
「……なんでオレはまだ生きてるんだ?」
「死にたいのかい?」
「絵が描けなくなった体で生きる意味があるのかよ」
「少なくとも、あたしはお前さんに生きていてほしいと思うよ」
「死体も同然のこの体でもか?」
質量のなくなった袖を軽く揺らし、心底不思議そうに鏡斎は聞いた。
■
という感じかな。
最後は絵を描きたい事だけしか頭に浮かばず、何で描けないんだとすでにない自分の腕を見て苛立ち、自分が描いたものが本物になるのなら、無くした腕も本物にさせてやると筆を咥えて描いてみせるとか。
……実際に欠損部分を直せる術を身に着けたら着けたで、百物語組内の医者代わりになりそう。
後先考えなさそうな雷電とかはしょっちゅう鏡斎の所へ行って傷を治してもらっていそうだなと。
もう少し考えて怪我しろよ描きにくいだろ、とか呆れながら言う鏡斎とか。
その時は調子よく返事をして、少し経ったらまた怪我をして鏡斎の所へ行く雷電とか。
産まれたてじゃそこまで完璧じゃないだろうという感じで想像したネタ。
(2012/08/11)