萌語り

◆親子

圓潮が山ン本を親だと思ってるなら。
実の子供が圓潮や鏡斎なら、元は違うけれど〈山ン本さん〉の一部を名乗る柳田は養子のようなものかと考え。
養子ときて、真っ先に思いついたのが婿養子の単語とか……
そこから発展して、地下鉄の少女の親は誰でしょうの話を半端に思いついたり。


「誰が親か?」
「地下鉄の少女が鏡斎に質問したそうです」
「それはまた、複雑な事を聞くネェ」
「鏡斎は自分が親だと言ったんですが……」
「真実そうだから問題はないだろう?」
「今度はもう片方の親は誰なのかと」
「…………」
「子には父親と母親がいるのだと、何処からか知ったようで」
「元の噺からして親が関係あるからネェ」
何にしても面倒な事だ、と呟き圓潮は暫く考えるそぶりをした。


その後に圓潮が鏡斎の家へ行って地下鉄の少女の疑問を解決してくれるとか。
結果として、「鏡斎パパが私を産んでくれて。育ててくれるのが圓潮お父さん。ママとパパが出会うきっかけを作ってくれたのが柳田サンで。種をくれたママがこの子!」とか無邪気に言う地下鉄に。
地下鉄が嬉しそうな姿を見るのはいいけれど、どう教えればこうなるんだと圓潮を見る鏡斎。
「余計複雑になってないか?」
「まぁ、あれが妥協点だったよ。それとも、自分がママと呼ばれたかったかい」
納得がいかない顔をする鏡斎に軽く言う圓潮。
地下鉄の言葉を聞いて、何となくの疎外感を感じるのは柳田。


(2012/02/28)
4/31ページ