断片話
◆無理がある
(リク鏡)
なつかれた。
敵だったはずの褐色の肌をした画師に。
危険人物には変わりしないので本家の監視下に置いたが、本人は全く気にしていない。
監禁にも近い状況で何をしているのかと思えば、一日中絵を描いている。
それも、モデルは全て同じ。
「よく飽きずに描いてられるな、鏡斎」
「どんなに描いてもリクオの魅力を描き切れない……その事がオレの創作意欲を掻き立てさせる」
矯めつ眇めつ此方を眺め、一心不乱に白い紙へと筆を走らせる。
そんな鏡斎を眺め、夜の姿だけを描いている内はおそらく何枚描いても同じだろうなと思った。
同じ人物だと分かってはいても夜の姿にしか興味がないらしい。
昼の姿の時に会うと無反応に近かった。
部屋中に敷き詰められていく自分の絵。
いつになったら鏡斎の満足する絵が描けるだろうかと、盃を傾けながら低く笑った。
(2011/11/11)
(リク鏡)
なつかれた。
敵だったはずの褐色の肌をした画師に。
危険人物には変わりしないので本家の監視下に置いたが、本人は全く気にしていない。
監禁にも近い状況で何をしているのかと思えば、一日中絵を描いている。
それも、モデルは全て同じ。
「よく飽きずに描いてられるな、鏡斎」
「どんなに描いてもリクオの魅力を描き切れない……その事がオレの創作意欲を掻き立てさせる」
矯めつ眇めつ此方を眺め、一心不乱に白い紙へと筆を走らせる。
そんな鏡斎を眺め、夜の姿だけを描いている内はおそらく何枚描いても同じだろうなと思った。
同じ人物だと分かってはいても夜の姿にしか興味がないらしい。
昼の姿の時に会うと無反応に近かった。
部屋中に敷き詰められていく自分の絵。
いつになったら鏡斎の満足する絵が描けるだろうかと、盃を傾けながら低く笑った。
(2011/11/11)