その他
気になった。
一日中絵を描く妖怪を。
知りたくなった。
圓潮が好きな人物を。
欲しくなった。
楽しそうな玩具を。
「また違う」
違和感しか覚えない式神を元に戻しながら呟いた。
自分は何を見てきたのかと観察力の足りなさを感じた。
意識を外へ放った式神へと移せば、そこには見慣れた妖がいた。
ずっと描き続けるさまは、毎日毎日同じことの繰り返しの様に見えるだろうが、違う。
一つとして同じものをこの妖は描いてない。
周りの事には無頓着なのか、いつものように紙が散乱していた。
そこら中に散らばる紙に描かれたものだけを見ても、同じものを描き続けてるわけではないと分かる。
一見つまらなそうに見える妖を観察し始めてから何年目になったのかは忘れた。
自分の方こそ、よくもまあ飽きもせず執着するものだと少し苦笑したくなった。
欲しい。
そう思ってから何十年。
力づくで手に入れることは楽ではあるけれど、したくはない。
同じほどに長い時を生きる噺家と対立する覚悟でないと力づくでは手に入れられない。
出来る事なら友好的な関係を続けていきたいと思う中、逆にその事が枷になった。
けれど、だからと言って欲しい物を諦める気にもなれず。
どこまでも未練がましく代用品を作り続けている。
それでも、どれもこれも何かが違う、やはり欲しいとしか思えなくて。
やっぱりいっその事、圓潮と絶交する覚悟で奪ってみようかと考え。
そのたびに迷う。
つまるところ、自分は何年経っても優柔不断で狡い人間なのだろう。
二兎を追う者は一兎をも得ず、そんな諺が頭に浮かんで消えた。
堂々巡り
「今度は上手くできるといいな」
end
(2012/01/31)
一日中絵を描く妖怪を。
知りたくなった。
圓潮が好きな人物を。
欲しくなった。
楽しそうな玩具を。
「また違う」
違和感しか覚えない式神を元に戻しながら呟いた。
自分は何を見てきたのかと観察力の足りなさを感じた。
意識を外へ放った式神へと移せば、そこには見慣れた妖がいた。
ずっと描き続けるさまは、毎日毎日同じことの繰り返しの様に見えるだろうが、違う。
一つとして同じものをこの妖は描いてない。
周りの事には無頓着なのか、いつものように紙が散乱していた。
そこら中に散らばる紙に描かれたものだけを見ても、同じものを描き続けてるわけではないと分かる。
一見つまらなそうに見える妖を観察し始めてから何年目になったのかは忘れた。
自分の方こそ、よくもまあ飽きもせず執着するものだと少し苦笑したくなった。
欲しい。
そう思ってから何十年。
力づくで手に入れることは楽ではあるけれど、したくはない。
同じほどに長い時を生きる噺家と対立する覚悟でないと力づくでは手に入れられない。
出来る事なら友好的な関係を続けていきたいと思う中、逆にその事が枷になった。
けれど、だからと言って欲しい物を諦める気にもなれず。
どこまでも未練がましく代用品を作り続けている。
それでも、どれもこれも何かが違う、やはり欲しいとしか思えなくて。
やっぱりいっその事、圓潮と絶交する覚悟で奪ってみようかと考え。
そのたびに迷う。
つまるところ、自分は何年経っても優柔不断で狡い人間なのだろう。
二兎を追う者は一兎をも得ず、そんな諺が頭に浮かんで消えた。
堂々巡り
「今度は上手くできるといいな」
end
(2012/01/31)