雷鏡

「おや、また随分といい御身分だネェ?」

通りかかった部屋で、テレビを真正面で見れるこたつを陣取り。
雷電を背もたれ代わりに寝ている鏡斎に圓潮は苦笑した。


「圓潮もテレビ見るか?」
「いや、あたしはまたすぐに出る予定だよ。雷電」
「へーちょうどいい所なのによ」

残念がりはしても引き止めはしない雷電はまたテレビへと視線を戻し。
何を見ているのかと少しだけ気になった圓潮は、立ったまま同じくテレビへと視線を向けた。


「ああ、少し前の噺も混じってるネェ」
「夏も多いけど冬もやる時はやるよな、ホラー系っての」
「どちらかと言えば都市伝説系だよ、この番組は」
「けっこーおもしれーのによ。何か人間が再現すんのが詰まんねーとか言って寝ちまったけどな鏡斎は」
「まあ、そうだろうネェ」


自分で描いた作品ですらよほどでない限り気にもとめない相手だ。
人間が再現する怪談はさぞ詰まらなかろう。


「そう言えば、よくお前さんは鏡斎の椅子代わりになってるが、嫌じゃないのかい?」
「寒いからちょうどいいぜ?」
「そうかい」


人を前に座らせるより先に、服装を変えたらどうだとは言わず。
季節感を度外視する雷電から視線を外し。
圓潮は出かける準備を再開した。



こたつとテレビ
「風邪を引かないように気を付けなさい」
「おう、後で鏡斎に言っとく」


end
(2016/02/03)
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