雷鏡
「よう、鏡斎。また引っ越しか?」
「いらないのが入り込んだからな」
庭から入ってきた雷電に、掛軸を片付けていた鏡斎はそっけなく返した。
「今回も派手にやったな」
汚れてない所がない部屋を見渡し、軽い口調で雷電は言った。
その一言に、片付ける手を止めた鏡斎は睨むように雷電を見た。
「……誰のせいだと思ってるんだ」
「オレ、か?」
今さっき来たばかりの雷電は、どこら辺が自分のせいなのかと首を傾げた。
血飛沫の散った部屋で延々と片付けをしていた鏡斎は、止めていた手をまた動かしながら口を開いた。
「次はコレより小さい家建てろ」
「これ以上小さくしたらオレが入れなくなるぜ、鏡斎」
「それが前提だからいらない奴が寄ってくるんだろ」
何処の豪邸だと思うほどに大きいがゆえに強盗紛いが押し入ってくる。
静かに絵を描いていたいだけで、なぜ一々そんなものの相手をしなければならないのか。
いらない訪問者が入るたびに墨にいらない色が入り、もう少しで完成するはずだった作品が汚される。
何回目になるか分からない荷造りで機嫌が急降下していた鏡斎は、雷電を睨みつけた。
荷造り
「……いいか、次は普通の民家を作れ」
end
(2012/08/30)
「いらないのが入り込んだからな」
庭から入ってきた雷電に、掛軸を片付けていた鏡斎はそっけなく返した。
「今回も派手にやったな」
汚れてない所がない部屋を見渡し、軽い口調で雷電は言った。
その一言に、片付ける手を止めた鏡斎は睨むように雷電を見た。
「……誰のせいだと思ってるんだ」
「オレ、か?」
今さっき来たばかりの雷電は、どこら辺が自分のせいなのかと首を傾げた。
血飛沫の散った部屋で延々と片付けをしていた鏡斎は、止めていた手をまた動かしながら口を開いた。
「次はコレより小さい家建てろ」
「これ以上小さくしたらオレが入れなくなるぜ、鏡斎」
「それが前提だからいらない奴が寄ってくるんだろ」
何処の豪邸だと思うほどに大きいがゆえに強盗紛いが押し入ってくる。
静かに絵を描いていたいだけで、なぜ一々そんなものの相手をしなければならないのか。
いらない訪問者が入るたびに墨にいらない色が入り、もう少しで完成するはずだった作品が汚される。
何回目になるか分からない荷造りで機嫌が急降下していた鏡斎は、雷電を睨みつけた。
荷造り
「……いいか、次は普通の民家を作れ」
end
(2012/08/30)