圓鏡

「クリスマスが近づくと、玩具のチラシが途端に多くなるネェ」

新聞紙の間に挟まれていたチラシの束を整理する圓潮。
その隣で、鏡斎はチラシを一枚手に取り、裏返していた。


「……最近のは両面に印刷されてるな」
「鏡斎。白紙があれば描きたくなるのは分かるが、チラシの裏は止めなさい」


和紙なら幾らでもあるだろうに、と言いながら圓潮は鏡斎が持っているチラシを回収した。


「そう言えば、一昔前に一時期このゲームシリーズの都市伝説が流行ったネェ」


回収したチラシに目玉商品として載る、青と赤のパッケージ。
懐かしむようにゲームの新シリーズを眺める圓潮の言葉に、鏡斎は黄色電気鼠を思い出した。


「……柳田サンが赤いペンで箱に一生懸命何か書いてたやつか?」
「ああ、柳田がパッケージの裏に長文を書いて、晴れ晴れとした笑顔で中古に流してたから、多分それだよ」
「柳田サンは地味な作業も嬉々としてやるな」
「不幸の手紙を書くのが一番好きらしいからネェ、柳田は」


さて、と作業を再開させるように、圓潮は持っていたチラシを束の中へと入れた。



古紙処理中
目立つのは玩具のチラシばかり。


end
(2013/12/16)
18/25ページ