雷鏡
「見ろよ鏡斎! スゲーお化けススキ取ってきたぜ!!」
縮尺でもバグったのかと思うほどに巨大なふさふさを意気揚々と雷電は掲げ。
月見の準備をしていた鏡斎は手を止めて見上げた。
「……パンパスグラスか」
雷電が持ってなお余りある植物の正体を鏡斎は言い当て。
確かに似た時期に生えていて形状も似ていなくもないかと思考し。
用意していた普通サイズの花瓶へと視線を落とし、色々と諦めた。
「やっぱデッカイのはテンション上がるよな!」
「そうかい……」
急ごしらえで縁側の柱に括りつけるはめにはなったススキの代表品を横目に。
早くも月見団子へと手を伸ばす雷電は月より団子とばかりにひょいひょいと口に放り込み。
一升瓶から湯呑に酒をついでいた鏡斎は片方を雷電の方へと渡した。
「あ? 日本酒じゃなくて葡萄酒か?」
「地方に行った圓潮が買ってきた」
「情緒ねーなぁ……さすがに湯呑は無いだろ湯呑はよぉ」
葡萄酒といえば嫌味なほどに華奢なガラスのだろと雷電は言いかけ。
一升瓶に入ってるのを考えれば湯呑の方が合ってるのか?と首を傾げてから酒を口にした。
「……情緒か」
ススキの代わりにバカでかい植物を取ってくるのは情緒があるのか。
雲が流れようやく真打ちが登場した空を指して月が綺麗だなと騒ぐ雷電に促され。
月を見上げた鏡斎は、情緒がないのはどっちだと言いたくなった。
お化けススキと月見と
一升瓶ワインを注いだ湯呑。
end
(2025/09/19)
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