小話

2020/06/23

【引き分け不可避】
「何見てんだ、鏡斎?」
「星占いランキング」
「あー珠三郎がよく見てるやつか」
「…………」
「そうだ! 暇潰しにどっちが順位上か勝負しようぜ!」
「……オレもお前も〈山ン本〉だぞ?」
end

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10/04

【冗談は半分】
「死ぬまでの君を全部ボクにくれる哉」
「……本気か? 柳田サン」
たかがお遊びの罰ゲーム。
それにしては、随分と代償が大きい。
「本気だって言ったら、君はどうする?」
「欲張り過ぎだろ」
「そう?」
「オレの割に合わん」
「残念。折角頑張ったのに骨折り損哉」
もちろん冗談半分だと、笑みを浮かべながら勝者は訂正した。
end

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2021/09/17

【西瓜】
「大玉でも甘いスイカだと言われてネェ。試食もなかなかのものだったからつい」
「夏って言ったらスイカだろ? 大玉の方がいっぱい食えてお得じゃねーか!」
「最近カットされたスイカばかりだったから、たまには一玉のをと思ったのよ」

地方からの帰りに一抱えはあるスイカを持ってきた圓潮。
両手にこれでもかとスイカをひっさげてきた雷電。
小ぶりな物をという選択肢はなかった珠三郎。

血肉を分けた存在は発想が似寄るのか。
お裾分けと言う名の手土産のバッティングを前に。
柳田が××村から貰ってきたスイカを消費していた鏡斎は手を止めた。

「……何で全員がオレの家に持ってくる?」
end

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