断片話

◆お菓子
(雷鏡)

「この煎餅しけってないか?」
「……知らん」

人の家の戸棚を勝手に漁っておきながら贅沢な。
いつからあるか知らない煎餅を齧る雷電を、冷ややかな目で鏡斎は眺めた。

「ハロウィンで珠三郎に甘いもん貰って食ってたけどよぉ。しょっぱいのが食いたくなるよな、無性に」
「それで何でオレの家に来る」
「なんか煎餅とかがありそうな気がした!」

その勘の良さは何処から来るのか。
煎餅を齧りながらキリッとした顔で雷電は断言した。


(2016/10/31)
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