断片話

◆たわいない質問
(圓鏡前提有+圓)

「自分の元から離れていくのを見たくない場合、圓潮ならどうする?」
「そうですね。例えばあたしならその人物を囲うでしょうネェ」

まあ、囲う場所は鎖すらない普通の家ですが、と続ける圓潮。
囲うにしては不向きな場所に有行は目を瞬かせた。

「言霊を使って留めるの?」
「そんな野暮なことはしませんよ」
「じゃあどうやって?」

無邪気に尋ねる御仁に、目を細めてから圓潮は口を開いた。

「居心地の良い場所を与えて、誰かがいないと生きていけない状態にすれば。
たとえ外に出ようと戻ってくるものですよ、有行殿」
「やけに実感がこもってる言葉だけど、実際に圓潮は誰かにしたの?」
「さて、どうでしょうネェ」


(2016/10/07)
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