断片話

◆ぎっくり腰
(圓鏡)

「和紙の束を移動させようと持ち上げたら腰を痛めた、ネェ?」

畳に突っ伏す相手を眺めながら、呆れてものも言えないとばかりに圓潮はため息を吐いた。

「日頃の運動不足じゃないかい?」
「…………」
「暫くは安静にしてなさい」
「……圓潮」
「道具一式は近くに置いておくよ」

だからくれぐれも安静にしていろと釘を刺し。
描きたくなれば這ってでも紙を求めるであろう相手を牽制した。


(2016/10/04)
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