断片話

◆反省の素振り
(圓鏡)

「少しは反省したのかネェ?」
小一時間ほど絵を描けなくすれば多少は、と考え。
望み薄すぎる仮定に思わずため息がこぼれた。

せめて怒られた理由を一欠片でも理解していてくれればと考えながら扉を開け。
視界に入ってきたモノにそのままピシャリと無言で扉を閉めた。
暫くの間、額に手をやり、頭が痛いと本気で思った。

頭痛が治まってから、もう一度意を決して扉を開け、部屋へと足を踏み入れた。
うじゃうじゃと部屋中にひしめく妖怪をかき分け、穴だらけになった床を踏みしめ。
自分の血を指に付け床に絵を描いている人物に、問答無用で扇を振り下ろした。

「お前さんには反省のはの字もないのかい」


(2016/10/03)
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