断片話

◆家飲み準備中
(圓+鏡+雷+珠)

「オレの家は宴会場か?」

人の作業部屋隣で、家主への断りもなく酒盛りの準備を始めるのはどうなのか。
酒とつまみを各自持参してきた兄弟達を眺めながら、鏡斎は疑問符を浮かべた。

「圓潮が青蛙亭使うの禁止にしたからしかたねーだろ?」
「せっかく広い場所が使えるのに禁止にするなんて心が狭いわよね、心が」

雷電の言葉に便乗し、面の皮厚く圓潮を流し目に見ながらため息をつく珠三郎。
その視線に、心外だと言わんばかりの表情で圓潮は口を挟んだ。

「青蛙亭だとあたしの弟子がいる時があるからネェ。気を遣わせたらいけないかと思って禁止にしただけだよ」
「嘘つけよ! その後地下で集まって飲めばいいとか言いやがって!!」
「あの場所でお酒が美味しく飲める訳ないでしょ!」
「と言う訳で、お前さんの家で酒盛りすることになったよ、鏡斎」

ブーイングの嵐をものともせずに事後承諾を切り出す圓潮。
余計な禁止令を出しやがってといった目で鏡斎は相手を見据えた。

「……地下で飲んでろ」


(2016/10/01)
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