断片話

◆お土産:悩み過ぎた結果から
(柳鏡)

「鏡斎へのお土産を何にしよう哉」

噺も集め終り、青蛙亭に寄った後鏡斎の家にでも行こうかと思いたち。
手土産を何にするかと迷った。

「タペストリーやご当地キーホルダーは、いらないだろうね鏡斎なら。かと言って食べ物系の定番お土産だと飽きてるだろうし……」

奇をてらった土産というのも一度や二度ならばいいが。
長年にわたり何度か買っているため、ほぼ普通の土産と変わりない。
どうしてこうも土産と言うのはいまいち目新しい物がないのか。
土産通りを過ぎてもなお決まらないまま歩き続け。
ふと視界の端に映った神社の鳥居に足を止めた。

「…………そうだ。安産祈願でも買おう哉」


(2016/01/28)
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