断片話

◆お土産:軽い冗談から
(柳鏡)

「……安産祈願か」

渡された物を摘み上げ。
随分な土産を持ってきた相手へと視線を向けた。

「こんなもんじゃ、オレは来るものはないぜ? 柳田サン」
「ただの願掛けだよ? 鏡斎」
「あー……そうかい」

たまに反応に迷う土産を持ってくる相手は何を考えているのか。
微笑みをたたえる相手から視線を外し。
手持ち無沙汰を紛らわす様に土産を弄んだ。

「せめてオレが来るような土産話か、食い物にでもしてくれ」
「そうだね、ちょうどそのお守りを買った神社の怪談があるけど、どう哉?」
「……前ふりが悪趣味すぎやしないかい、柳田サン」
「ちょっとした余興代わりだよ」
「いらん余興だな」


(2016/01/28)
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