断片話

◆代用
(柳鏡前提圓+鏡)

「柳田サンが求めるのは、〈山ン本さん〉の代わりだろ」
「酷い事を言うネェ」
「本当の事だ」
「〈山ン本さん〉に関係なくとは考えないのかい?」
「圓潮。あんた、本気で言ってるのか?」

あり得るはずがないと断言した鏡斎は、話は終わりだとばかりに筆を取った。
どうしてこうまで柳田の事を突き放して言い切れるのか。
疑問に思えど、相手の考えなど本人にしか分かりはしないかと、諦めに似た感情が浮かんだ。

「もし、柳田が本当にお前さんを好いていたら、その時はどうするんだい」

返答をする素振りすらせずに絵を描き始める相手に、取り付く島もないと圓潮はため息を吐いた。


(2015/10/25)
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