断片話

◆分かってる
(柳鏡)

「君の恋人は絵なの哉」

平常通り、いつも通り、むしろそれが普通。
食事をした後さっさと絵を描きに戻る鏡斎を眺め、柳田は呟かずにはいられなかった。

「絵とボクどっちが大切とか聞いたら、確実に絵だって言うんだろうね。そんな君が大好きだけど、やっぱり少し寂しい哉」

食事を一緒に出来ただけよしとしよう、と食器を片付けながら柳田はため息をついた。


(2015/04/28)
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