断片話

◆癖
(柳鏡)

まとまらない思考にいら立ち頭を掻いていた手を止めた。
嫌な感触がした手を下げ、予想通りに付いていた色に顔を顰めた。
爪の間に入った赤を、近くに丸めてあった紙で拭った。
白と黒だけの紙に混じった色を誤魔化すように、きつく丸めて部屋の端へと放った。

「……柳田サンが煩くなるな」

怪我にも入らないかすり傷にすら人一倍煩い相手を思い出しため息をついた。

「めんどくせぇ」


(2015/04/20)
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