断片話

◆捜索者
(つらら+青田坊)

「リクオ様ー! 何処にいらっしゃるんですかー!!」
「また若は何処かに行っちまったのか?」
「青田坊……リクオ様は?」
「今日も何か一人で寄る所があるとか言ってたからなぁ」

何処にいるかは分からない、と青田坊が頬を掻きながら言えば。
目に見えてつららは肩を落とし、考え込むように指を口元へと添えた。

「いったい何処にリクオ様は……ま、まさか! リクオ様に秘密のいけない放課後が!?」

ぷしゅ~っと顔を赤くし、湯気が出そうなほどの想像をし始めたつらら。
挙動不審なほどにあわあわとするつららに、青田坊は何とも言えない顔になった。

「しっかし、本当に若は何処に行っちまったんだ?」

本家にすら日が暮れてからしか帰ってこず、行先すらも告げられない。
訊いてみても、昼は言葉を濁し困ったような笑みを向けられ。
夜は何かを考え詰めているようで訊き辛かった。

一人で帰ったあの日から続く、若の奇行。
その意味を、理由を告げられない事が、余計に不安になった。

「こ、こうなったらリクオ様を見失わないよう、明日はもっと早くリクオ様の元へ…!」
「畏を使われるとまず見つける事も難しいけどな……」

ぬらりひょんの能力は強力過ぎて、冗談で使われたとしても見つからない。
今日もまた、日暮れまで本家で待つしかないのかと青田坊はため息を吐いた。


(2015/04/05)
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