断片話
◆再戦、切裂VS猩影
「若と確かに潰したのに、まだ流れ続けるのか……」
逢魔が刻に流れていたとおりゃんせの歌。
一度奪い返した場所に、今なお細々と続く怪談。
ようやく、シマとして治めたはずが、やけに胸騒ぎがした。
百物語組は、あの夜確かに倒された。
唯一、噺家と〈耳〉と呼ばれていた者だけは逃がしたと聞いたが。
それでも流れ続ける百物語組が作った怪談が不気味だった。
「……一度見に行くか」
見に行きさえすれば安心できるだろう。
何もなければ、その内に廃れる話などさっさと忘れられるはず。
「っと、いけねぇな。こんなんじゃ」
自分の頬を両手で叩き、大猿会の長としての気合いを入れた。
こんな事で、一々不安がっていれば世話はない。
「川越か……」
何もない。
何かあるはずもない。
そう思えば思うほど、胸がざわついて仕方がなかった。
(2015/04/05)
「若と確かに潰したのに、まだ流れ続けるのか……」
逢魔が刻に流れていたとおりゃんせの歌。
一度奪い返した場所に、今なお細々と続く怪談。
ようやく、シマとして治めたはずが、やけに胸騒ぎがした。
百物語組は、あの夜確かに倒された。
唯一、噺家と〈耳〉と呼ばれていた者だけは逃がしたと聞いたが。
それでも流れ続ける百物語組が作った怪談が不気味だった。
「……一度見に行くか」
見に行きさえすれば安心できるだろう。
何もなければ、その内に廃れる話などさっさと忘れられるはず。
「っと、いけねぇな。こんなんじゃ」
自分の頬を両手で叩き、大猿会の長としての気合いを入れた。
こんな事で、一々不安がっていれば世話はない。
「川越か……」
何もない。
何かあるはずもない。
そう思えば思うほど、胸がざわついて仕方がなかった。
(2015/04/05)