断片話
◆序の口の交流
(柳田→〈山ン本さん〉)
「山ン本様の全てが好きで何が悪いの哉?」
さらりと言ってのける〈耳〉に、その場にいた人物達は無意識に一歩引いた。
別段、他人が誰を好いていようがどうでもいいが、対象に自分達も入りそうな発言は聞きたくはなかった。
「やべぇ、あれ本気で言ってそうだぞ」
「……間違いなく本気だろうな」
「そのまま引き入れたのは少し早計だったかネェ?」
しかし噺集めとかしたくないしな、とそれぞれ面倒だと表情に出しながら柳田を眺めた。
「圓潮。あんた犠牲になってくれ」
「あ? 適任は鏡斎だろう。あたしは〈山ン本さん〉とは声が違うよ」
その点、絵の腕に関してだけ言えば画風は同じだと論ずられ、心底嫌そうな顔を鏡斎はした。
「四六時中付き纏われたら、来るもんも来ねぇよ」
「じゃあ、次点で背丈が同じ雷電になすりつけるかい?」
「…………」
「オレだって嫌だからな!」
じっと見上げてくる鏡斎に、慌てて雷電は首を横に振った。
(2015/03/25)
(柳田→〈山ン本さん〉)
「山ン本様の全てが好きで何が悪いの哉?」
さらりと言ってのける〈耳〉に、その場にいた人物達は無意識に一歩引いた。
別段、他人が誰を好いていようがどうでもいいが、対象に自分達も入りそうな発言は聞きたくはなかった。
「やべぇ、あれ本気で言ってそうだぞ」
「……間違いなく本気だろうな」
「そのまま引き入れたのは少し早計だったかネェ?」
しかし噺集めとかしたくないしな、とそれぞれ面倒だと表情に出しながら柳田を眺めた。
「圓潮。あんた犠牲になってくれ」
「あ? 適任は鏡斎だろう。あたしは〈山ン本さん〉とは声が違うよ」
その点、絵の腕に関してだけ言えば画風は同じだと論ずられ、心底嫌そうな顔を鏡斎はした。
「四六時中付き纏われたら、来るもんも来ねぇよ」
「じゃあ、次点で背丈が同じ雷電になすりつけるかい?」
「…………」
「オレだって嫌だからな!」
じっと見上げてくる鏡斎に、慌てて雷電は首を横に振った。
(2015/03/25)