断片話

◆詰んだ
(柳+鏡)

「顔を切り取る時、血を一滴でも流したらダメとかはどう哉?」
「柳田サン、アレは血の一滴も流させずに顔切取れるぜ」
「そもそも、どうしてそんな一週間も顔を渡す約束をしたの哉?」
「アイツの女を借りる条件の成り行き」
「ああ、君の事をよく分かってるね、あの怪人は」

返してこない事を大前提に条件を出したのかと、納得したように柳田は呟いた。

「柳田サン。なんとか切り抜ける道はないか?」
「自業自得じゃない哉、鏡斎」
「一週間も絵を描けないのは発狂しそうだ」
「それこそ、あの怪人は喜ぶだろうね」


(2013/12/06)
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