断片話

◆化粧品
(珠+鏡)

デンッと机の上に置いた黒い箱を開け、珠三郎は中身を見せてきた。
多彩な筆と色とりどりの顔料。
綺麗に色が並べられたパレットを手に取り、感心したように鏡斎は呟いた。

「……いい色だな」
「でしょうv」

鏡斎の反応に気を良くした珠三郎は、身を乗り出す様にして話しかけてきた。

「どう? 引き受けてくれる?」
「……オレは化粧師じゃないぜ?」


(2013/10/10)
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