断片話

◆原因不明
(圓→鏡)

「産みの親がそんなに愛おしいものかネェ?」

いっそ滑稽にさえ見えるほどの執着心を抱く怪談妖怪達。
放任主義もいい所の相手に、何故そこまで覚えていてほしいものか。

「まぁ、つれなくされた方が燃え上がるのもたしかだ」

それにしても納得がいかない。



そこまで考え、ふと疑問が浮かんだ。
噺を広めているのに蔑ろにされていることか。
鏡斎が無意識に作品達に好かれるよう仕向けたことか。
数多くある内の一つでしかない怪談達が、身の程知らずな願望を抱いていることか。

「――あたしは何に苛立ってるのかネェ?」

はて、と苛立ちの原因が分からず首を傾げた。


(2013/08/15)
53/98ページ