断片話

◆誤算
(圓→鏡)

「嫌な部分まで愛おしいなんて思ってちゃ始末におえないネェ」

嫌いなはずだった。親とも言える〈山ン本〉に似た部分が憎たらしく思えてたはずだった。

「切り捨てられなくなったなんて笑い話にもならない」

全て見捨てる積もりだった。
〈山ン本〉復活など端から成就させる気などサラサラなかったのだから。
適当なところでやはり駄目だったと一番煩い人物達に言い捨て、さっさと個になりたかった。

「まったく、誤算だよ」

切り捨てるにはあまりにも惜しくて、手放すのはもっと考えられず。
いっそ――


(2012/06/26)
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