断片話

◆同族
(鏡+切+地下鉄)

競争心のあることはいい事だ、そんな言葉を今すぐに屑篭の中に叩き込みたい心境だった。

「……少しは仲良くできないのか」
「無理でありマス」
「ムリ」

しかめっ面で言う男と無邪気に言う少女。
この2つの作品はどうして此処まで相容れないものかと首をひねりたくなった。

「お前、女子中学生好きだっただろ」

地下鉄の少女のモデルは女子中学生だったのだから、その延長線で好きの部類のはず。
そんな考えのもとに言えば、口を引き結んでいた男はムスッとした顔で答えてきた。

「確かに〈小生〉は女子が好きではありマスが、この娘だけは願い下げでありマス」
「…………」

何が違うんだ、と自分の作品の考えが分からなくなった。
世間に出て行くと心境の変化でもあるのかと考えながら、ペッタリとくっついている少女を見下ろした。

「友達が出来るのは楽しいんだろ?」
「うん、でもこの人は友達じゃなくていい」


(2012/04/20)
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