断片話
◆扇
(御門院+圓潮)
中に描かれた金魚がゆっくりと泳ぎ回る扇を片手に有行は水蛭子の反応を楽しんだ。
「面白いよねー、これ中の絵が動くんだよ」
「有行、どこからソレ持ってきたんだよ?」
「秘密」
おちゃめに言う有行は、気になるのかと言いたげにニコニコと笑った。
一瞬額に青筋を立てそうになった水蛭子は、この程度で怒ってたら余計にからかわれるだけだと抑えた。
それでも、普通ではありえない扇が気になり有行に尋ねた。
「まさか誰かのを無断で持ってきた……とかじゃないだろうな?」
「大丈夫。無断だけど雄呂血様や心結のじゃないから」
「無断はあってるのかよ!! 他の奴でも駄目だろ!?」
「水蛭子は生真面目だねー」
「てめぇがボケボケしてるだけだ!」
■
ズカズカと横を通り過ぎて行った水蛭子を見送り、圓潮は有行の所へと歩いて行った。
「何かあったんですか?」
「んー? 何もなかったよ。そう言う圓潮は何か探し物?」
「扇が一つ足りないもので、何か知りませんか? 有行殿」
すでに誰が持って行ったのかを知っている様子で尋ねる圓潮に、扇を広げていた有行はゆっくりと閉じて圓潮に渡した。
「ごめんね、圓潮。少し借りてた」
(2012/03/20)
(御門院+圓潮)
中に描かれた金魚がゆっくりと泳ぎ回る扇を片手に有行は水蛭子の反応を楽しんだ。
「面白いよねー、これ中の絵が動くんだよ」
「有行、どこからソレ持ってきたんだよ?」
「秘密」
おちゃめに言う有行は、気になるのかと言いたげにニコニコと笑った。
一瞬額に青筋を立てそうになった水蛭子は、この程度で怒ってたら余計にからかわれるだけだと抑えた。
それでも、普通ではありえない扇が気になり有行に尋ねた。
「まさか誰かのを無断で持ってきた……とかじゃないだろうな?」
「大丈夫。無断だけど雄呂血様や心結のじゃないから」
「無断はあってるのかよ!! 他の奴でも駄目だろ!?」
「水蛭子は生真面目だねー」
「てめぇがボケボケしてるだけだ!」
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ズカズカと横を通り過ぎて行った水蛭子を見送り、圓潮は有行の所へと歩いて行った。
「何かあったんですか?」
「んー? 何もなかったよ。そう言う圓潮は何か探し物?」
「扇が一つ足りないもので、何か知りませんか? 有行殿」
すでに誰が持って行ったのかを知っている様子で尋ねる圓潮に、扇を広げていた有行はゆっくりと閉じて圓潮に渡した。
「ごめんね、圓潮。少し借りてた」
(2012/03/20)