断片話

◆当番


「圓潮師匠が見に行ってると思っていたんですけど?」
「あたしは最近行ってないよ」
「じゃあ誰が鏡斎の様子を?」
「さぁネェ? 雷電、お前さんは最近行ったかい?」
「オレと珠三郎はかなり前に行ったきりだぜ?」
「……ねぇ、それじゃ最近誰も見に行ってないんじゃないの?」

珠三郎の言葉に、暫くその場が沈黙した。

「うぉ!? 野たれ死んでんじゃねぇぞ鏡斎!!」

意の一番に青蛙亭を出た雷電は、若干青ざめた顔で叫んだ。

「あぁ、まったく、どうして安心して一人暮らしを任せてられないのかネェ」
「圓潮師匠。鏡斎だから仕方ないですよ……」

雷電に続くように小走りに鏡斎の家へと向かいながら、圓潮と柳田はため息をついた。


(2011/12/29)
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