断片話

◆ただの大馬鹿
(雷鏡)

「鏡斎ったら隅に置けないわねv」
「……何がだよ」

久しぶりに青蛙亭で会った早々、明らかに面白がっている様子の珠三郎。
意味が分からず無視をしようとした矢先に、今度はクスクスと笑いながら柳田が近づいてきた。

「雷電から聞いたよ、鏡斎。君の肌にキスマークが目立たない理由を夜通し教えてあげたんだって?」
「…………」
「お? どうしたんだよ入口で固まって、何かあっ…ぐえっ!?」

タイミング悪く通りがかった雷電は、鞭で首を絞められ引きずり寄せられた。
鞭を片手にあからさまに不機嫌な鏡斎を前に驚いたように訊いた。

「何で怒ってんだよ鏡斎!?」
「黙れ、とりあえず黙れ……」


(2011/11/10)
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