断片話

◆様子見
(柳鏡)

「鏡斎?」

筆を握ったまま倒れこんでいる人物。
近づいて健やかな寝息をたてている事を確認して苦笑した。

「何とも鏡斎らしい寝姿哉」



「まだ食事はしてないんでしょ?」

「ああ、飯か……」

前に食べたのはいつだったか、と呟き熟考を始める鏡斎を見て、柳田は密やかにため息をついた。
本当に、絵以外のことは忘れやすいらしい。

「そこで悩まないで欲しかった哉」


(2011/08/24)
4/98ページ