断片話

◆僕らは神様なんだからさ
(トル呂+ロキ)

「本当、ジョークにもならないよねぇ?」

神々の戯れにしては、洒落にならないお遊びだった。
人間は神に敵うわけがない、そんな大前提だったから始めたラグナロク。

蓋を開けてみれば。
北欧最強の雷神がザックリと胸に傷を負い。
ギリシャの主神クラスがボッコボコにされ。
果ては、海神や半神半人の大英雄が木っ端みじん。
流石にちょっと、オイオイそりゃダメでしょとなったが後の祭り。
たかが1000年の猶予のために神々のメンツが丸潰れ。

一番、目を疑ったのは。
あの雷神トールが、輪をかけて退屈で死にそうになってること。
なんでも、ラグナロクで戦った相手が最高すぎて。
好敵手と書いて友と呼ぶぐらいに気に入ったらしい。
なのにもう会えないもんだから。
辛気臭すぎてもはやカビが生える落ち込みよう。

「これって、ヒントあげないとダメ系? あ、でもオジ様が止めてるから駄目だとかー?
 ――ナイナイ! どこもかしこもルール破り上等だし。気付かない方が可笑しいよねぇ?」

さて、あの北欧最強の狂戦士はいつごろ気付くのか。
できれば八つ当たりで周囲を壊す前に気付いて欲しい。


「人間なんて、さっさと好きなように扱えばいいのに」


(2020/09/20)
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