萌語り
◆約三万六千五百日
お前が欲しいと呂布に言われたトール神とか。
我の全てをくれてやる、故に、お前の百年を寄越せと言われ。
人間とはおかしなものだと、呂布の謙虚さを不思議がるトール神。
たった百年と神が思う時間は、下界の人間にとっての一生分。
人間にとっての一生分を約束させようとした呂布。
百年どころか次の千年だろうと余裕なトール神。
種族差がまねく認識の違い。
そして、百年後に失踪する呂布。
それも転生して別人へとなり果てる予定での失踪。
残される側の気持ちを一切考えてない人の子。
失踪したのは、トール神から呂布がようやく一勝を奪い取った次の日。
昨日と変わらない今日を呂布と過ごすつもりだったトール神にしてみれば晴天の霹靂。
自分が負けたから呂布が去ったのかという考えにいたるまでは短く。
それが、ただ百年が経ったからだとは思いもよらない。
呂布としては、始めから百年経てばトール神の元を去る予定だったので。
戦うことが目的で勝敗はどちらでもよかったが、最後の最後で勝てたことを嬉しくは思う。
嬉しくは思ったが、神から貰い受けた百年は終わった。
己が地上で生きた年数の倍以上。
退屈には程遠い、歓喜に満ちた日々だった。
まだ足りぬと思う半面、もう十分だとも思う。
再び退屈を覚える前に死ぬべきだと。
みたいな感じでトール神の元からいなくなった挙句。
ニブルヘルは許されないので転生の道を選ぶ呂布とか。
転生は記憶や自我がリセットされるので、人間からしてみたら死ぬことと何ら変わりない。
その後?
転生とかは仏界の方が主流なのでそっちに相談してる間にトール神に捕まる。
ほぼ初めてレベルで口喧嘩する神と人だが、物理勝負の方が話が早い。
自分が負けたのが原因だと思っているトール神は二度と負ける気はない。
呂布の方は邪魔立てをする気ならば切り伏せるまでだと応戦。
そして――そもそも神気がなじみ過ぎてて転生できないというオチ。
原因としては、神と戦うために色々としていたので、思い当たる節があり過ぎる呂布。
では神気とやらが抜ければいいのかと釈迦へと問えば。
ここまで馴染むと完全に抜けきるには天界だと途方もない時間が必要と言われ。
実質上の転生不可。
呂布が転生できないと知り、逃げ道を潰せていたことに安堵するトール神。
それはさておき、事の発端である百年とは、呂布が己が身を差し出すのを条件としていたはずだと思い出す。
あの時は、そんな条件を付けなくともいくらでも共に過ごすつもりだったので気にも留めなかったが。
今となっては好条件だと考えを改める。
確かに自分が言った条件をトール神から問われ。
好敵手である雷神に不義理を働くつもりは毛頭ないが。
今の今まで気にも留めていなかったものを、ここで出すのかと思わなくもない人の子。
苦し紛れに、「お前が我に飽きるまでだ!」と追加条件を付ける。
残念ながら、神が飽きる日は来そうにもない話。
(2021/07/07)
お前が欲しいと呂布に言われたトール神とか。
我の全てをくれてやる、故に、お前の百年を寄越せと言われ。
人間とはおかしなものだと、呂布の謙虚さを不思議がるトール神。
たった百年と神が思う時間は、下界の人間にとっての一生分。
人間にとっての一生分を約束させようとした呂布。
百年どころか次の千年だろうと余裕なトール神。
種族差がまねく認識の違い。
そして、百年後に失踪する呂布。
それも転生して別人へとなり果てる予定での失踪。
残される側の気持ちを一切考えてない人の子。
失踪したのは、トール神から呂布がようやく一勝を奪い取った次の日。
昨日と変わらない今日を呂布と過ごすつもりだったトール神にしてみれば晴天の霹靂。
自分が負けたから呂布が去ったのかという考えにいたるまでは短く。
それが、ただ百年が経ったからだとは思いもよらない。
呂布としては、始めから百年経てばトール神の元を去る予定だったので。
戦うことが目的で勝敗はどちらでもよかったが、最後の最後で勝てたことを嬉しくは思う。
嬉しくは思ったが、神から貰い受けた百年は終わった。
己が地上で生きた年数の倍以上。
退屈には程遠い、歓喜に満ちた日々だった。
まだ足りぬと思う半面、もう十分だとも思う。
再び退屈を覚える前に死ぬべきだと。
みたいな感じでトール神の元からいなくなった挙句。
ニブルヘルは許されないので転生の道を選ぶ呂布とか。
転生は記憶や自我がリセットされるので、人間からしてみたら死ぬことと何ら変わりない。
その後?
転生とかは仏界の方が主流なのでそっちに相談してる間にトール神に捕まる。
ほぼ初めてレベルで口喧嘩する神と人だが、物理勝負の方が話が早い。
自分が負けたのが原因だと思っているトール神は二度と負ける気はない。
呂布の方は邪魔立てをする気ならば切り伏せるまでだと応戦。
そして――そもそも神気がなじみ過ぎてて転生できないというオチ。
原因としては、神と戦うために色々としていたので、思い当たる節があり過ぎる呂布。
では神気とやらが抜ければいいのかと釈迦へと問えば。
ここまで馴染むと完全に抜けきるには天界だと途方もない時間が必要と言われ。
実質上の転生不可。
呂布が転生できないと知り、逃げ道を潰せていたことに安堵するトール神。
それはさておき、事の発端である百年とは、呂布が己が身を差し出すのを条件としていたはずだと思い出す。
あの時は、そんな条件を付けなくともいくらでも共に過ごすつもりだったので気にも留めなかったが。
今となっては好条件だと考えを改める。
確かに自分が言った条件をトール神から問われ。
好敵手である雷神に不義理を働くつもりは毛頭ないが。
今の今まで気にも留めていなかったものを、ここで出すのかと思わなくもない人の子。
苦し紛れに、「お前が我に飽きるまでだ!」と追加条件を付ける。
残念ながら、神が飽きる日は来そうにもない話。
(2021/07/07)