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「神に勧められた食べ物は、気をつけた方がいいよ」
それは世間話の一つだったのか。
アダムが口にした言葉に、周囲の者は困惑的な表情になった。
「はぁ……神サマにねぇ?」
「勧められた物、ですか。失礼ながら、何か人体に有害性が?」
「毒とかそういうのじゃないけど、できるだけ食べない方がいいっていうか」
「ワシぁ、昨日シヴァの所で飯を馳走になったばかりだが」
「継続的じゃなければ、たぶん大丈夫」
神に勧められた物は食べない方がいい、継続的な摂取は特にダメ。
アダムの話をまとめるとそんな内容だった。
「しかし、気をつけろと言われてもなぁ……」
いったい具体的には何に気をつければいいのか。
漠然とした警告を前に、眉をハの字に下げた小次郎は頬を掻き。
ジャックや雷電も同様の事を思い、場の空気が少しばかり重くなる中。
今回も酸っぱい物だった林檎を齧っていたアダムは口を開いた。
「神の善意って、たいがい人間にとってろくでもない事が多いから」
ある意味、この世の真理の一つかもしれない言葉に。
その場にいた者は、言わんとするところは分からないでもない気がした。
そんな話があったのが数日前。
さほど興味なくその場で聞き流していた話を今になって呂布は思い出した。
「呂布よ、手が止まっているがどうした?」
「…………」
何故、今になって思い出したのか。
手にしていた杯を無言のまま一息に飲み干せば。
流れるような手つきでトールに追加の酒を注がれた。
天上の酒は美味い。
初めて飲んだ時は、『酔い潰れる』という醜態をさらす事となったが。
加減を知れば二度目はない。
あの世の物は美味い。
目の前の神に勧められた物は特に。
それが好敵手と認めた相手と共にいるからなのか。
ただ勧められた物が格別なだけなのかは分からないが。
気をつけろと、数日前の集まりで話題になりはしたが。
いまさらだと、神に勧められるままに呂布は酒へと口を付けた。
毒を食らわば皿まで、そんな心境で人間が酒を口にしているとは知らず。
神の国の物を口にする呂布へと、愛おしげな視線をトールは向け続けた。
供食
或いは黄泉戸喫。
end
(2021/04/12)
それは世間話の一つだったのか。
アダムが口にした言葉に、周囲の者は困惑的な表情になった。
「はぁ……神サマにねぇ?」
「勧められた物、ですか。失礼ながら、何か人体に有害性が?」
「毒とかそういうのじゃないけど、できるだけ食べない方がいいっていうか」
「ワシぁ、昨日シヴァの所で飯を馳走になったばかりだが」
「継続的じゃなければ、たぶん大丈夫」
神に勧められた物は食べない方がいい、継続的な摂取は特にダメ。
アダムの話をまとめるとそんな内容だった。
「しかし、気をつけろと言われてもなぁ……」
いったい具体的には何に気をつければいいのか。
漠然とした警告を前に、眉をハの字に下げた小次郎は頬を掻き。
ジャックや雷電も同様の事を思い、場の空気が少しばかり重くなる中。
今回も酸っぱい物だった林檎を齧っていたアダムは口を開いた。
「神の善意って、たいがい人間にとってろくでもない事が多いから」
ある意味、この世の真理の一つかもしれない言葉に。
その場にいた者は、言わんとするところは分からないでもない気がした。
そんな話があったのが数日前。
さほど興味なくその場で聞き流していた話を今になって呂布は思い出した。
「呂布よ、手が止まっているがどうした?」
「…………」
何故、今になって思い出したのか。
手にしていた杯を無言のまま一息に飲み干せば。
流れるような手つきでトールに追加の酒を注がれた。
天上の酒は美味い。
初めて飲んだ時は、『酔い潰れる』という醜態をさらす事となったが。
加減を知れば二度目はない。
あの世の物は美味い。
目の前の神に勧められた物は特に。
それが好敵手と認めた相手と共にいるからなのか。
ただ勧められた物が格別なだけなのかは分からないが。
気をつけろと、数日前の集まりで話題になりはしたが。
いまさらだと、神に勧められるままに呂布は酒へと口を付けた。
毒を食らわば皿まで、そんな心境で人間が酒を口にしているとは知らず。
神の国の物を口にする呂布へと、愛おしげな視線をトールは向け続けた。
供食
或いは黄泉戸喫。
end
(2021/04/12)