断片話

◆つまるところ
(トル呂+ロキ)

「不安ね~?」

まあ何と言うか。北欧最強の狂戦士は頭まで狂戦士かと問いたくなる。
下界の言葉であえて言うなら、ちゃんちゃらおかしい、とでも言うべきか。
あの儚さとは無縁な外見の人間に対し、何処をどう見ればそんな印象を受けるのか。

否、確かに神にとって人間はすぐに壊れる脆弱な存在ではあるが。
一度ニブルヘルした相手に対し過保護になるのも分からなくもないが。
それでもなお、頭まで狂戦士かと問いたくなるのは――

あの人間と毎回全力で戦っておきながらそう言える思考回路。

流血など当たり前。人間の片腕が吹っ飛ぶ攻撃など日常茶飯事。
それでいて互いに凶悪な笑みを浮かべあいながら武器を切り結んでいるのだから手に負えない。
しかも、この北欧最強の狂戦士、何だかんだ言いつつガッツリとあの人間に手を出している。

つまるところ、全ては惚気。


(2021/01/06)
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