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「朝から不機嫌そうだけど、どうかした?」
ニュッと空中から現れたロキは、にやついた笑みで雷神トールへと話しかけた。
軽薄な調子を隠そうともしないロキの問いに、視線すら合わせずにトールは口を開いた。
「答える義務はない」
「まあ、どーせあの人間がらみだろうけど。朝から辛気臭い顔してたから気になっちゃってさ。
もしかして――喧嘩でもしたとか? なんなら、ボクが仲裁してあげようか?」
「……好敵手が服を着ていたからだ」
ペラペラとよく回る口で絡むロキへと、渋々ながらトールは答えた。
仮に喧嘩をしていたとしても、狡知の神の仲裁など頼む訳がない。
何故ロキの暇潰しに付き合わなければならないのかと考えながら。
雷神トールは今朝の出来事を簡素に述べ、言葉を続けた。
「我が前では常に脱いでいろと言いたいのを我慢してきた」
横暴とセクハラの塊のようなセリフを平然と口にしたトールに対し。
狡知の神たるロキは一瞬キョトンとした後、少し考えてから呆れ気味に思い出した。
あの人間が上の服まで着てる時は、手を出さない日と律儀に決めているらしい事を。
わざわざ人間ごときの為に神が気遣う必要がどこにあるのか。
意味の分からない事をするトールに、ロキは白けたように投げやりに問いかけた。
「戦いたいなら脱がせちゃえばよくない? 我慢する必要ある?」
「……昨夜は無理をさせたからな」
元凶の気遣い
自ら原因を作っておいて不機嫌になる。
end
(2020/12/23)
ニュッと空中から現れたロキは、にやついた笑みで雷神トールへと話しかけた。
軽薄な調子を隠そうともしないロキの問いに、視線すら合わせずにトールは口を開いた。
「答える義務はない」
「まあ、どーせあの人間がらみだろうけど。朝から辛気臭い顔してたから気になっちゃってさ。
もしかして――喧嘩でもしたとか? なんなら、ボクが仲裁してあげようか?」
「……好敵手が服を着ていたからだ」
ペラペラとよく回る口で絡むロキへと、渋々ながらトールは答えた。
仮に喧嘩をしていたとしても、狡知の神の仲裁など頼む訳がない。
何故ロキの暇潰しに付き合わなければならないのかと考えながら。
雷神トールは今朝の出来事を簡素に述べ、言葉を続けた。
「我が前では常に脱いでいろと言いたいのを我慢してきた」
横暴とセクハラの塊のようなセリフを平然と口にしたトールに対し。
狡知の神たるロキは一瞬キョトンとした後、少し考えてから呆れ気味に思い出した。
あの人間が上の服まで着てる時は、手を出さない日と律儀に決めているらしい事を。
わざわざ人間ごときの為に神が気遣う必要がどこにあるのか。
意味の分からない事をするトールに、ロキは白けたように投げやりに問いかけた。
「戦いたいなら脱がせちゃえばよくない? 我慢する必要ある?」
「……昨夜は無理をさせたからな」
元凶の気遣い
自ら原因を作っておいて不機嫌になる。
end
(2020/12/23)